2017年6月第四週(19日から23日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2017年6月第四週(19日から23日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
しかし、捨てる神あれば拾う神あり。CPI当日の午後に発表になったFOMCは想定通りであっただろう。利上げはもちろんのこと、FOMCメンバーの金利見通しも、今年はあと1回、来年は3回と、3月時点と変わらずとなっている。
翌日の木曜日から一気にドル買いが強まり、金曜日のドル円は一時111円台まで買い戻されている。週足で見れば、5週間ぶりの陽線だ。200日線も上回ってきている。
さて来週だが、強気に行きたいところではあるが、何せ米経済指標が弱い。予想を上回る指標を見たいところではあるが、来週の主な指標は住宅販売件数2本と景気先行指数くらいのものである。
住宅指標はあまり期待できないが、どうであろうか。むしろFOMCメンバーの発言が多数出る。しかし、FOMC直後のメンバーの発言は概ね、FOMCを追認する内容が多い。
ドル円の予想レンジだが、先週と変わらず109.50~112.50を想定。スタンスは期待を込めてやや強気を維持。
同時に、債券の償還による資金の再投資に制限を加え、金融緩和によりかさんだ米金融当局の資産圧縮を段階的に図るバランスシート縮小策が詳細に示され、イエレンFRB議長は「比較的早期に実施する可能性もある」とした。
一方、日銀は16日、金融政策決定会合で金融政策の据え置きを決定。黒田東彦日銀総裁はその後の会見で、現時点で出口や正常化について議論する段階にはない旨を発言した。
引き続き日米金融政策の方向性の違いが意識され、ドル・円をサポートする展開が続きそうだ。
ドル・円はチャート上で、直近高値の1ドル=112.11円(5月24日)を上抜ければ、5月下旬に米政局不安から急落する前の113円台回復が視野に入る。一方、直近でもみ合った110円前後の水準が下値メド。
ただ、「ロシアゲート」疑惑や原油価格・ハイテク株の下落など懸念材料もあり、上値追いにも慎重さがみられそうだという。
22─23日に欧州連合(EU)首脳会議が行われる。英政府はEU基本条約(リスボン条約)50条に基づく離脱交渉を予定通り19日に開始するとしており、同交渉問題がテーマになるとみられている。
ただ、メイ首相の党内求心力は弱まっているとされ「EU離脱交渉の基本的な方向性などを巡り、不透明感が強まってきた」(国内証券)との指摘がある。
イエレン会見ではインフレ圧力の低下を認めている。しかし「過剰反応しないことが重要」と発言。今までにないタカ派姿勢だ。会見中、トランプ大統領と再任に関する議論は無いとして記者らからの質問を避けたように見えた場面があった。何故か。筆者は次のように邪推する。
イエレン議長の任期は2018年2月3日、残すところ230日、半年強である。つまり金融政策の正常化を議長在任中の悲願とし、市場機能を取り戻して退任への花道を作りたいとの矜持が先立っているのではないか。
想像の域を出ないが、イエレン議長自身が市場の動揺を抑え、自分にも言い聞かせようとした強気会見だったのではないか、と思えてならないのである。
6/19週のドル円上値焦点は月足雲上限111.405、日足一目均衡表雲帯111.82-112.23。5/17欧米時間下落前の戻り高値圏112.50-55、5/17高値113.12が期待値。下値焦点は200日線110.612、週足一目均衡表雲帯109.95-51、6/15安値109.265。割れたら6/14安値108.78、4/21-20安値圏108.875-72留意。
現在の米経済は、概ねFOMCの見通しに沿う成長を遂げており、失業率は見通し以上の改善(低下)をみせている。この為、FOMCはここまで公言している通り、年内の追加利上げとB/S縮小着手の開始時期をうかがおう。
来週は米国で住宅関連の指標を複数控えている。特に市場の大きい中古住宅市場では在庫不足を背景に堅調な伸びが続いてきた。住宅関連指標の相場への影響は限定的とも言えるが、今後、根底での変化への監視を要する。
このほか、FOMC明けとあって来週はFRB高官の発言機会も並んでいる。景気や物価の先行きに関するよほど悲観的な見方でも示されない限り、こちらも相場への影響は限定的とみている。
こうした中、来週は日本で貿易統計を控えている。4 半期末を控え、実需筋の円買い意欲が高まれば、いくらかドル円を下押ししよう。加えて、配当金の集積でもある第 1 次所得収支の黒字幅も例年 7 月~9 月期に急拡大する。
もっとも、本邦の低金利長期化を背景に対外証券投資も活発だ。特に、投資家のヘッジ外債からオープン外債へのシフト、既存のヘッジ外しが増加する可能性もあり、ドル円を下支えしよう。
以上を踏まえると、来週のドル円は日米ともに強弱材料が入り混じり、110 円台を中心とする値動きにとどまると予想する。
ただ、今週は大きなイベントもなく、地合いは悪くないながらも、もみ合いが続く可能性が高いです。
ドル円以外では、ナスダックの下落と、そして、ついにビットコインの動きも怪しくなってきました。
雰囲気は徐々に悪くなってきているという声も少なくない印象です。
予想 : 109.80 - 112.00
経済指標一覧(日本時間)
06/19(月)
- 08:50(日) 5月 貿易統計
06/20(火)
- 10:30(豪) 豪準備銀行 金融政策決定会合 議事要旨
- 16:30(英) カーニー BOE 総裁 発言
- 21:30(米) 1-3月期 四半期経常収支
06/21(水)
- 08:50(日) 日銀 金融政策決定会合 議事要旨
- 23:00(米) MBA 住宅ローン申請指数
- 23:00(米) 5月 中古住宅販売件数
06/22(木)
- 06:00(NZ) ニュージーランド準備銀行 政策金利
- 21:30(加) 4月 小売売上高
06/23(金)
- 23:00(米) 5月 新築住宅販売件数
今週のドル円予想レンジ予想
KlugFX:109.50 - 112.50
とれんど捕物帳
「CPIが無かったら」に尽きるが、終わってみれば週足で5週ぶり陽線
今週は一言で言えば「CPIが無かったら」に尽きるであろう。インフレ鈍化傾向が不安視される中、4ヵ月連続で鈍化している。ドル円はロフテッド軌道どころか、上がる前に音速の10倍で急落してしまった。しかし、捨てる神あれば拾う神あり。CPI当日の午後に発表になったFOMCは想定通りであっただろう。利上げはもちろんのこと、FOMCメンバーの金利見通しも、今年はあと1回、来年は3回と、3月時点と変わらずとなっている。
翌日の木曜日から一気にドル買いが強まり、金曜日のドル円は一時111円台まで買い戻されている。週足で見れば、5週間ぶりの陽線だ。200日線も上回ってきている。
さて来週だが、強気に行きたいところではあるが、何せ米経済指標が弱い。予想を上回る指標を見たいところではあるが、来週の主な指標は住宅販売件数2本と景気先行指数くらいのものである。
住宅指標はあまり期待できないが、どうであろうか。むしろFOMCメンバーの発言が多数出る。しかし、FOMC直後のメンバーの発言は概ね、FOMCを追認する内容が多い。
ドル円の予想レンジだが、先週と変わらず109.50~112.50を想定。スタンスは期待を込めてやや強気を維持。
モーニングスター:110.00 - 113.00
来週の東京外国為替市場見通し
FOMC通過も、米金融当局の資産圧縮を意識した展開続く
FOMCでは市場予想通り政策金利であるFFレートの誘導目標を0.25ポイント引き上げ、今後の利上げペースは17年内にあと1回、18年に3回実施するとの見通しに変わりはなかった。同時に、債券の償還による資金の再投資に制限を加え、金融緩和によりかさんだ米金融当局の資産圧縮を段階的に図るバランスシート縮小策が詳細に示され、イエレンFRB議長は「比較的早期に実施する可能性もある」とした。
一方、日銀は16日、金融政策決定会合で金融政策の据え置きを決定。黒田東彦日銀総裁はその後の会見で、現時点で出口や正常化について議論する段階にはない旨を発言した。
引き続き日米金融政策の方向性の違いが意識され、ドル・円をサポートする展開が続きそうだ。
ドル・円はチャート上で、直近高値の1ドル=112.11円(5月24日)を上抜ければ、5月下旬に米政局不安から急落する前の113円台回復が視野に入る。一方、直近でもみ合った110円前後の水準が下値メド。
ロイター:109.50 - 112.50
来週の外為市場
来週のドルはしっかり推移、米株価・金利次第で112円トライ
来週の外為市場でドル/円はしっかり推移しそうだ。今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で年内あと1回の利上げ予想が維持されたことや、米連邦準備理事会(FRB)議長がバランスシート縮小開始を示唆したことなどが支えになるとみられる。ただ、「ロシアゲート」疑惑や原油価格・ハイテク株の下落など懸念材料もあり、上値追いにも慎重さがみられそうだという。
22─23日に欧州連合(EU)首脳会議が行われる。英政府はEU基本条約(リスボン条約)50条に基づく離脱交渉を予定通り19日に開始するとしており、同交渉問題がテーマになるとみられている。
ただ、メイ首相の党内求心力は弱まっているとされ「EU離脱交渉の基本的な方向性などを巡り、不透明感が強まってきた」(国内証券)との指摘がある。
岡三オンライン証券:108.80 - 112.50
武部力也の週間為替相場見通し
イエレン「残り230日」でドル円は行き詰るか
6月利上げはある意味、想定範囲内だ。しかし筆者も含めて市場が驚いたのは、イエレンFRB議長の強気な姿勢であろう。イエレン会見ではインフレ圧力の低下を認めている。しかし「過剰反応しないことが重要」と発言。今までにないタカ派姿勢だ。会見中、トランプ大統領と再任に関する議論は無いとして記者らからの質問を避けたように見えた場面があった。何故か。筆者は次のように邪推する。
イエレン議長の任期は2018年2月3日、残すところ230日、半年強である。つまり金融政策の正常化を議長在任中の悲願とし、市場機能を取り戻して退任への花道を作りたいとの矜持が先立っているのではないか。
想像の域を出ないが、イエレン議長自身が市場の動揺を抑え、自分にも言い聞かせようとした強気会見だったのではないか、と思えてならないのである。
6/19週のドル円上値焦点は月足雲上限111.405、日足一目均衡表雲帯111.82-112.23。5/17欧米時間下落前の戻り高値圏112.50-55、5/17高値113.12が期待値。下値焦点は200日線110.612、週足一目均衡表雲帯109.95-51、6/15安値109.265。割れたら6/14安値108.78、4/21-20安値圏108.875-72留意。
三菱東京UFJ銀行:109.50~112.50
FX Weekly
イベント通過、方向感でづらい
今回のFOMCを通じて、改めて織り込み済みの利上げでは、ドル高円安が進みにくいことが確認された。現在の米経済は、概ねFOMCの見通しに沿う成長を遂げており、失業率は見通し以上の改善(低下)をみせている。この為、FOMCはここまで公言している通り、年内の追加利上げとB/S縮小着手の開始時期をうかがおう。
来週は米国で住宅関連の指標を複数控えている。特に市場の大きい中古住宅市場では在庫不足を背景に堅調な伸びが続いてきた。住宅関連指標の相場への影響は限定的とも言えるが、今後、根底での変化への監視を要する。
このほか、FOMC明けとあって来週はFRB高官の発言機会も並んでいる。景気や物価の先行きに関するよほど悲観的な見方でも示されない限り、こちらも相場への影響は限定的とみている。
こうした中、来週は日本で貿易統計を控えている。4 半期末を控え、実需筋の円買い意欲が高まれば、いくらかドル円を下押ししよう。加えて、配当金の集積でもある第 1 次所得収支の黒字幅も例年 7 月~9 月期に急拡大する。
もっとも、本邦の低金利長期化を背景に対外証券投資も活発だ。特に、投資家のヘッジ外債からオープン外債へのシフト、既存のヘッジ外しが増加する可能性もあり、ドル円を下支えしよう。
以上を踏まえると、来週のドル円は日米ともに強弱材料が入り混じり、110 円台を中心とする値動きにとどまると予想する。
私見
FOMC 通過後にドル円は急騰しました。4月25日の、窓開け後と同じく、ほぼ押しがない上昇です。FOMC 通過後に下がるという向きを見事に踏み上げた結果となります。ただ、今週は大きなイベントもなく、地合いは悪くないながらも、もみ合いが続く可能性が高いです。
ドル円以外では、ナスダックの下落と、そして、ついにビットコインの動きも怪しくなってきました。
雰囲気は徐々に悪くなってきているという声も少なくない印象です。
予想 : 109.80 - 112.00