2017年5月第5週から6月第一週(5月29日から6月2日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2017年5月第5週から6月第一週(5月29日から6月2日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
特に、6月13-14日開催FOMC前の雇用統計となる5月分の結果は焦点となる。ただ、6月の追加利上げは織り込み済で、大幅な下ブレとならない限り、6月利上げとの見方が変化することはなさそうだ。
米4月小売売上高や米4月新築住宅販売件数など5月中下旬に発表された経済指標は弱めのものが目立つ他、複数のFRB高官がインフレ率の鈍化を憂慮した発言を行うなど、先々の米利上げペースの鈍化観測が広がっている。
加えて、トランプ米大統領とロシアの癒着疑惑(ロシアンゲート)に絡み解任されたコミー前FBI(米連邦捜査局)長官の公聴会が30日以降に行われる見通し。米政権運営への不確実性がさらに高まれば、ドル・円を下押しする可能性があるため注意したい。
ドル・円の下値は、25日終値時点の200日移動平均線近辺とも重なる1ドル=110円ちょうど。上値はロシアンゲートの急落前の113円08銭の水準を回復できるかがメドとなろう。
昨年の大統領選におけるトランプ陣営とロシアの共謀疑惑「ロシアゲート」を巡っては、日を追ってトランプ氏に不利な情報が集まっており、30日以降にコミ―元米連邦捜査局(FBI)長官が米上院・情報委員会で証言する予定。調査の進展に対する警戒感がドルの上値を抑えそうだ。
ただ、金融市場のリスク感応度は低下しており、リスク回避の円買いも容易には盛り上がりにくいとみられる。50ドル割れの水準で推移する原油相場の動向も注視される。
主な指標では、29日にドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁の議会証言が予定されるほか、30日には米4月のコアPCEデフレーター、米5月消費者信頼感指数、31日に本邦4月鉱工業生産、1日に米地区連銀報告、米5月ISM製造業景況指数、2日に米5月雇用統計及び米4月貿易収支が予定される。
筆者は6/8の欧州中銀ECB理事会に向けてユーロへの思惑がドル円を左右しかねないとして刮目している。それは5/24にドラギ総裁が基調インフレ圧力は依然として抑制されているとの見解を示した一方、下振れリスクは一段と後退したとの認識も表明しているからだ。
ドラギ総裁は、インフレ圧力が抑制されていることで緩和政策継続の正当性を主張しているが、実体との整合性が問われ始める筈であり、なかでもドイツのインフレ圧力の程度が注視されるのではないか。
5/29週ドル円は従前通り、米債金利動向を睨みで日足一目均衡表雲帯(109.878-111.82)を意識した展開を推考。
下値焦点は200日線推移の111.226圏、5/23安値110.85、5/18安値110.23。4/24-25安値圏109.60-65、月足一目均衡表雲上限109.50が最終橋頭堡。
上値焦点は5/24高値112.13、5/17欧米時間下落前の戻り高値圏112.50-55、5/17高値113.12。
このことは、来年の利上げを織り込む過程で、米ドルの市場金利(例えば 2 年国債の利回りなど)の上昇によってドルに一段高となる余地が残っていることを示唆しているが、その為には米景気拡大の持続を予見させるに十分な証拠(明るい経済指標)の積み重ねも必要だ。
その点、来週は米ISM製造業景況指数(生産面)や自動車販売(支出面)、雇用統計(分配面)とそれぞれ格好の材料を控えている。この内、ISM製造業景気指数は、2 月(57.7)をピークに 3 月(57.2)、4 月(54.8)と軟化している。
戦後、最長の景気拡大を記録した 1991 年から 2001 年(景気拡大は 120 ヶ月)の間も、ISM指数が「57」を超える強い「山」を 3 回記録した後、景気後退局面へと転じた経験則がある。
もちろん、ビッグデータや人口知能、IoTといった第 4 次産業革命が広がりを見せる可能性もあり、必ずしも過去の経験則が当てはまるわけではないが、一定の留意を要する。
大統領選におけるロシアとの不適切な関係を巡る疑惑解明に向けた動きもヘッドラインを通じて市場を揺さぶる場面が有るだろう。
足もとで下げ止まりつつあるが、トランプ米大統領への支持率も就任後の最低レベルにある。良好な企業決算を受けて活況を呈する米国の主要な株価指数だが、これらが契機に、利益確定といった売りに押されるなら、ドル円への下押し圧力となろう。
週前半はニュースも少なく値幅も少なそうですが、来週にかけて上昇が確認できるのであれば、日経の 2 万円突破もついに実現するかもしれません。
予想 : 110.00 - 113.00
経済指標一覧(日本時間)
05/29(月)休場:米(Memorial Day),英(bank holiday)
- 重要指標の発表なし
05/30(火)
- 08:30(日) 4月 失業率,有効求人倍率
- 21:30(米) 4月 個人消費支出(PCE)★★
- 23:00(米) 5月 消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)
05/31(水)
- 18:00(欧) 5月 消費者物価指数(HICP)
- 21:30(加) 1-3月期 四半期国内総生産(GDP)
- 22:45(米) 5月 シカゴ購買部協会景気指数
- 23:00(米) 4月 住宅販売保留指数
- 27:00(米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
06/01(木)
- 21:15(米) 5月 ADP 雇用統計 ★★
- 23:00(米) 5月 ISM 製造業景況指数 ★★
06/02(金)
- 21:30(米) 5月 非農業部門雇用者数変化(雇用統計)
- 21:30(米) 5月 失業率,平均時給
今週のドル円予想レンジ予想
モーニングスター
6月FOMC前、米5月雇用統計に注目
110.00 - 113.00
来週の東京外国為替市場見通し (2017/05/26)週明けは市場の関心度の高い経済イベントが相次ぐ。
特に、6月13-14日開催FOMC前の雇用統計となる5月分の結果は焦点となる。ただ、6月の追加利上げは織り込み済で、大幅な下ブレとならない限り、6月利上げとの見方が変化することはなさそうだ。
米4月小売売上高や米4月新築住宅販売件数など5月中下旬に発表された経済指標は弱めのものが目立つ他、複数のFRB高官がインフレ率の鈍化を憂慮した発言を行うなど、先々の米利上げペースの鈍化観測が広がっている。
加えて、トランプ米大統領とロシアの癒着疑惑(ロシアンゲート)に絡み解任されたコミー前FBI(米連邦捜査局)長官の公聴会が30日以降に行われる見通し。米政権運営への不確実性がさらに高まれば、ドル・円を下押しする可能性があるため注意したい。
ドル・円の下値は、25日終値時点の200日移動平均線近辺とも重なる1ドル=110円ちょうど。上値はロシアンゲートの急落前の113円08銭の水準を回復できるかがメドとなろう。
ロイター
来週のドル/円は上値重い、ロシアゲートが重荷
110.50 - 113.00
来週の外為市場(2017/05/26)来週の外為市場で、ドル/円は上値が重い展開となりそうだ。
昨年の大統領選におけるトランプ陣営とロシアの共謀疑惑「ロシアゲート」を巡っては、日を追ってトランプ氏に不利な情報が集まっており、30日以降にコミ―元米連邦捜査局(FBI)長官が米上院・情報委員会で証言する予定。調査の進展に対する警戒感がドルの上値を抑えそうだ。
ただ、金融市場のリスク感応度は低下しており、リスク回避の円買いも容易には盛り上がりにくいとみられる。50ドル割れの水準で推移する原油相場の動向も注視される。
主な指標では、29日にドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁の議会証言が予定されるほか、30日には米4月のコアPCEデフレーター、米5月消費者信頼感指数、31日に本邦4月鉱工業生産、1日に米地区連銀報告、米5月ISM製造業景況指数、2日に米5月雇用統計及び米4月貿易収支が予定される。
岡三オンライン証券
メルケル独首相の本音がドル円を揺さぶる展開
110.20 - 113.10
武部力也の週間為替相場見通し(2017/05/26)■ユーロがドル円を牽引するか
筆者は6/8の欧州中銀ECB理事会に向けてユーロへの思惑がドル円を左右しかねないとして刮目している。それは5/24にドラギ総裁が基調インフレ圧力は依然として抑制されているとの見解を示した一方、下振れリスクは一段と後退したとの認識も表明しているからだ。
ドラギ総裁は、インフレ圧力が抑制されていることで緩和政策継続の正当性を主張しているが、実体との整合性が問われ始める筈であり、なかでもドイツのインフレ圧力の程度が注視されるのではないか。
5/29週ドル円は従前通り、米債金利動向を睨みで日足一目均衡表雲帯(109.878-111.82)を意識した展開を推考。
下値焦点は200日線推移の111.226圏、5/23安値110.85、5/18安値110.23。4/24-25安値圏109.60-65、月足一目均衡表雲上限109.50が最終橋頭堡。
上値焦点は5/24高値112.13、5/17欧米時間下落前の戻り高値圏112.50-55、5/17高値113.12。
三菱東京UFJ銀行
米経済不調が一時的かどうかの点検週間
110.00 - 113.00
FX Weekly(2017/05/26)市場は今年あと 2 回の利上げをほぼ織り込んでいる一方、来年に関しては 1 回の利上げすら市場は織り込めていない状況だ。
このことは、来年の利上げを織り込む過程で、米ドルの市場金利(例えば 2 年国債の利回りなど)の上昇によってドルに一段高となる余地が残っていることを示唆しているが、その為には米景気拡大の持続を予見させるに十分な証拠(明るい経済指標)の積み重ねも必要だ。
その点、来週は米ISM製造業景況指数(生産面)や自動車販売(支出面)、雇用統計(分配面)とそれぞれ格好の材料を控えている。この内、ISM製造業景気指数は、2 月(57.7)をピークに 3 月(57.2)、4 月(54.8)と軟化している。
戦後、最長の景気拡大を記録した 1991 年から 2001 年(景気拡大は 120 ヶ月)の間も、ISM指数が「57」を超える強い「山」を 3 回記録した後、景気後退局面へと転じた経験則がある。
もちろん、ビッグデータや人口知能、IoTといった第 4 次産業革命が広がりを見せる可能性もあり、必ずしも過去の経験則が当てはまるわけではないが、一定の留意を要する。
大統領選におけるロシアとの不適切な関係を巡る疑惑解明に向けた動きもヘッドラインを通じて市場を揺さぶる場面が有るだろう。
足もとで下げ止まりつつあるが、トランプ米大統領への支持率も就任後の最低レベルにある。良好な企業決算を受けて活況を呈する米国の主要な株価指数だが、これらが契機に、利益確定といった売りに押されるなら、ドル円への下押し圧力となろう。
私見
注目は 6 月の雇用統計となります。ヘッドラインで下落する局面はあるものの、チャート上からも極端に下方向へ向かっているわけではなく、一時反発を試す週となるような形です。週末恒例の北朝鮮のミサイル発射がエスカレートしないのであれば、一旦は上方向と見ています。週前半はニュースも少なく値幅も少なそうですが、来週にかけて上昇が確認できるのであれば、日経の 2 万円突破もついに実現するかもしれません。
予想 : 110.00 - 113.00