9月5日から9月9日までの、ドル円相場に影響しそうな経済指標のまとめと私的な考察です。
9月5日から9月9日までの、ドル円相場に影響しそうな経済指標のまとめと私的な考察です。
目先は2日の米8月雇用統計が焦点となる。米国は完全雇用に近づいているとされるなか、非農業部門雇用者数が7月並み(前月比25.5万人増)の水準に達するのは至難で、市場予想の18万人増に届けば米9月利上げ観測が再燃しそうだ。
来週は4-5日に中国・杭州でG20(20カ国・地域)首脳会議が開かれるほか、5日に黒田東彦日銀総裁の講演がある。20-21日の日銀金融政策決定会合における金融政策の「総括的な検証」を前にした黒田総裁の物価目標や追加緩和に対するスタンスに注目。米経済イベントでは、6日の8月ISM非製造業景況指数、7日のベージュブック(米地区連銀経済報告)がある。
足元のドル・円は短期間に急伸したが、米8月雇用統計が弱ければ、失望売りが出る可能性があるため、下値めどは1日終値の25日移動平均線近辺の1ドル=101円40銭とする。一方、米8月雇用統計が堅調だった場合、9月FOMCでの利上げが想起されやすくなることからフシの105円を上抜ける可能性がある。上値めどは7月29日高値近辺の105円70銭。
米雇用統計の結果を踏まえた地合いが、週を通して継続しやすいとみられている。ただ、ドル買いが強まった場合でも、心理的節目105円では国内実需筋などから戻り待ちの売りが出やすく、上抜けは容易ではないとみられている。
利上げ期待の高まりによって株価・原油価格が崩れるリスクオフ地合いにならないかにも、引き続き目配りが必要。景気下振れが警戒される中国では貿易収支(8日)や消費者物価指数(9日)などの指標発表が予定されており、材料視されそうだ。
5日は米国がレイバーデーの休日となる。
8月25-27日に米ワイオミング州ジャクソンホールで開催された経済シンポジウムでは、イエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長やフィッシャー同副議長ら当局者から早期利上げにタカ派的な見解が聞かれた。
ただ、市場関係者の間では、FRBによる引き締めは「9月はあまり現実的ではない」(外為ディーラー)といった声が聞かれており、現時点では12月実施がメーンシナリオとみられる。このため、8月雇用統計が予想に沿った内容だった場合、5日(米国はレーバーデーの祝日のため、休場)以降の取引では、ドル・円は上値の重い展開となるだろう。
一方、日銀の金融政策への思惑も広がりやすい。総括的な検証を踏まえ9月の追加緩和策としてマイナス金利の深掘りを模索しているとの見方が広がるなか、5日に予定されている日本銀行黒田総裁による講演(共同通信主催)での発言は注目材料となりそうだ。マイナス金利拡大の方向性が示された場合、金融機関の業績への影響から株安が見込まれるため円高に振れやすい。
それは発言の一方で、イエレン議長は「今後のデータがFOMC見通しを裏付けるかどうか次第」とした慎重な態度も忘れていないこと、更には今回、”一番の曲者(くせもの)”と筆者が感じたのがイエレン発言録に示されているチャートの存在だ。
8/29週のドル円上値焦点は、日足一目均衡表雲の帯(103.67-104.82)、105円圏の90日線が圧迫するもと7/29高値105.80へのアプローチ有無。下値焦点は8/29-30安値圏101.82-74維持。失敗すると8/26イエレン発言報時の100.045を意識した下押し懸念が強まるのではないか。
結局、テクニカル的にも 2 月を起点とした週足抵抗線を僅かに超えることができずに越週。来週の動きに注目が集まります。
週明けはレイバーデーにより米国市場は休場となりますが、ロンドン時間によりその後の方向性が出てくるのではないかと考えられます。
日本時間では再び 104 を付け、ロンドン時間で利益確定の売りに押されるものの、方向感なくモミ合い、というのがまず週明けの動きなんじゃないかと想定しています。
週全体としては月末の日銀と FRB の動きをにらんで動きづらいことは確かだと思いますが、そもそも雇用統計も弱かったこともあり、105 円を超えてくることはないのかな、と思っています。
予想 : 101.80 - 104.60
経済指標
09/05(月)
- 10:45 (中) 8 月 Caixin サービス部門購買担当者景気指数(PMI)
- 11:30 (日) 黒田日銀総裁 発言
09/06(火)
- 23:00 (米) 8 月 米労働市場情勢指数(LMCI)
- 23:00 (米) 8 月 ISM 非清浄業景況指数(総合)★★
09/07(水)
- 20:00 (米) MBA 住宅ローン申請件数(前週比)
- 27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
09/08(木)
- 未定(中) 8 月 貿易収支(米ドル・人民元)
- 08:50(日) 4-6 月期 四半期実質国内総生産(GDP)
- 14:00(日) 8 月 景気ウォッチャー調査・現状判断 DI
- 20:45(欧) ECB 政策金利
- 21:30(欧) ドラギ ECB 総裁 定例記者会見
- 21:30(米) 前週分 新規失業保険申請件数
09/09(金)
- 10:30(中) 8 月 消費者物価指数(CPI)
- 23:00(米) 7 月 卸売在庫
予想レンジ
モーニングスター
米8月雇用統計後の米利上げ観測に注目
101.40 - 105.70
来週の東京外国為替市場見通し (2016/09/02 18:17)
目先は2日の米8月雇用統計が焦点となる。米国は完全雇用に近づいているとされるなか、非農業部門雇用者数が7月並み(前月比25.5万人増)の水準に達するのは至難で、市場予想の18万人増に届けば米9月利上げ観測が再燃しそうだ。
来週は4-5日に中国・杭州でG20(20カ国・地域)首脳会議が開かれるほか、5日に黒田東彦日銀総裁の講演がある。20-21日の日銀金融政策決定会合における金融政策の「総括的な検証」を前にした黒田総裁の物価目標や追加緩和に対するスタンスに注目。米経済イベントでは、6日の8月ISM非製造業景況指数、7日のベージュブック(米地区連銀経済報告)がある。
足元のドル・円は短期間に急伸したが、米8月雇用統計が弱ければ、失望売りが出る可能性があるため、下値めどは1日終値の25日移動平均線近辺の1ドル=101円40銭とする。一方、米8月雇用統計が堅調だった場合、9月FOMCでの利上げが想起されやすくなることからフシの105円を上抜ける可能性がある。上値めどは7月29日高値近辺の105円70銭。
ロイター
来週のドル/円は米経済指標を見極め、月末のフローにも警戒
102.00 - 105.00
来週の外為市場 (2016/09/02 16:02)来週の外為市場でドル/円は底堅い動きが見込まれている。米雇用統計をきっかけに相場が上下に大きく振れる可能性があるが、下振れた場合でも今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀会合に向けて、米早期利上げや日銀緩和への思惑が支えになると見込まれている。
米雇用統計の結果を踏まえた地合いが、週を通して継続しやすいとみられている。ただ、ドル買いが強まった場合でも、心理的節目105円では国内実需筋などから戻り待ちの売りが出やすく、上抜けは容易ではないとみられている。
利上げ期待の高まりによって株価・原油価格が崩れるリスクオフ地合いにならないかにも、引き続き目配りが必要。景気下振れが警戒される中国では貿易収支(8日)や消費者物価指数(9日)などの指標発表が予定されており、材料視されそうだ。
5日は米国がレイバーデーの休日となる。
フィスコ
ドルは上値の重い展開か、9月利上げ期待低下の可能性も
99.00 - 103.00
為替週間見通し(2016/09/02 14:49)
8月25-27日に米ワイオミング州ジャクソンホールで開催された経済シンポジウムでは、イエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長やフィッシャー同副議長ら当局者から早期利上げにタカ派的な見解が聞かれた。
ただ、市場関係者の間では、FRBによる引き締めは「9月はあまり現実的ではない」(外為ディーラー)といった声が聞かれており、現時点では12月実施がメーンシナリオとみられる。このため、8月雇用統計が予想に沿った内容だった場合、5日(米国はレーバーデーの祝日のため、休場)以降の取引では、ドル・円は上値の重い展開となるだろう。
一方、日銀の金融政策への思惑も広がりやすい。総括的な検証を踏まえ9月の追加緩和策としてマイナス金利の深掘りを模索しているとの見方が広がるなか、5日に予定されている日本銀行黒田総裁による講演(共同通信主催)での発言は注目材料となりそうだ。マイナス金利拡大の方向性が示された場合、金融機関の業績への影響から株安が見込まれるため円高に振れやすい。
岡三オンライン証券
イエレン発言は「米利上げ・空蝉(うつせみ)の術」か
101.80 - 104.80
武部力也の週間為替相場見通し(2016/09/02)8月中旬以降はFRB幹部らによる利上げ思考が噴出したが、8/23-9/1終値比のドル円騰落率は、僅か+1.40%。これでは”ドル高・爆買い”とは言い難い。何故か。理由は簡単だ。大河ドラマ「真田丸」では佐助が敵に錯覚を起こさせる忍法「空蝉の術」を駆使するが、イエレン発言も、株式・債券・金利、外為市場に喫緊の利上げムードを”錯覚”で織り込ませようとしている可能性があるからだ。
それは発言の一方で、イエレン議長は「今後のデータがFOMC見通しを裏付けるかどうか次第」とした慎重な態度も忘れていないこと、更には今回、”一番の曲者(くせもの)”と筆者が感じたのがイエレン発言録に示されているチャートの存在だ。
8/29週のドル円上値焦点は、日足一目均衡表雲の帯(103.67-104.82)、105円圏の90日線が圧迫するもと7/29高値105.80へのアプローチ有無。下値焦点は8/29-30安値圏101.82-74維持。失敗すると8/26イエレン発言報時の100.045を意識した下押し懸念が強まるのではないか。
私見
8 月の米雇用統計は、市場予想 18 万人に届かなかったです。ドル円は直後に下振れしましたが、まさかの全戻し&さらなる上昇により 104 円を超える場面がありました。これはトレンド転換というより、ショートカバーが出ただけの動きなのかなと思います。結局、テクニカル的にも 2 月を起点とした週足抵抗線を僅かに超えることができずに越週。来週の動きに注目が集まります。
週明けはレイバーデーにより米国市場は休場となりますが、ロンドン時間によりその後の方向性が出てくるのではないかと考えられます。
日本時間では再び 104 を付け、ロンドン時間で利益確定の売りに押されるものの、方向感なくモミ合い、というのがまず週明けの動きなんじゃないかと想定しています。
週全体としては月末の日銀と FRB の動きをにらんで動きづらいことは確かだと思いますが、そもそも雇用統計も弱かったこともあり、105 円を超えてくることはないのかな、と思っています。
予想 : 101.80 - 104.60