イギリスの EU 離脱をめぐる国民投票から二週間が経ちましたが、未だにイギリスは EU へ離脱の「通達」を出していません。つまり、正式には離脱へのプロセスが始まっていません。
イギリスの EU 離脱をめぐる国民投票から二週間が経ちましたが、未だにイギリスは EU へ離脱の「通達」を出していません。つまり、正式には離脱へのプロセスが始まっていません。
イギリスが EU を脱退するメリット
離脱派は、雇用の安定・住宅の安定・移民問題の解消・国家の主権を取り戻す、などと訴えていたようです。これは数年前「政権交代に期待した」我が国と全く同じようなことです。
結果も…同じようなものになるでしょうw
イギリスが EU を脱退するデメリット
- 金融センターとしてのロンドンの地位低下
→ これにより不動産価格にも影響が出ます。 - GDP 押し下げ
45% の輸出は EU 向けです。 - スコットランド独立運動の再燃
小学生の社会科のようですが、イギリスは「グレートブリテン及びアイルランド連合王国」です。この連合王国が崩壊する可能性が高まります。
特にスコットランドは 2014 年に独立の住民投票を行っていますし、今回の件でも当然その流れが再燃します。
そして、この問題の本質は、以下の二点があります。 - スコットランド域内の北海油田も失う
- スコットランドのクライド海軍基地を失う
弾道ミサイル搭載原子力潜水艦の母港です。
最後に上げたスコットランドの独立がされると、イギリスとしては国際的な地位の低下まで発展してしまうのです。
近年、イギリスは安易に中国に近づいていますが、中国側はこういったことまで視野に入れて動いているのではないでしょうか。
国民投票に法的拘束力はない
6 月 23 日(現地時間)に行われた国民投票。一度やらせてみよう、では済まない決断を下してしまったイギリス国民ですが、この選挙は法的拘束力はないので、無視してもいいわけです。
しかし、民主主義を無視するようなことはできないので、現実出来には無理でしょう。再度の投票も同じです。
そこで、裏技的な話が出てきます。
イギリスは議会の解散で離脱は回避できる
まず、今回の件を受けて、EU から正式な離脱をするには、イギリス議会制定法に組み込まれる必要があります。
その際に、下院(日本でいう衆議院)が拒否すれば、EU 離脱は「なかったこと」とすることができます(選挙直前に射殺されてしまったジョーコックス氏も下院議員です)。
この際に、議会を解散して信を問う、とすれば、事実的には残留か離脱かの「再投票」を行うことができるわけです。
ただし、日本と違って首相には解散権がない(2011 年に廃止)ので、全議員が自らの職をかけて闘う必要があります。
イギリス未来の名誉のための解散です。
あり得ない話ではないと思います。