2025年10月第2週のドル円相場は、高市政権の発足による円安と、トランプ米大統領の対中強硬姿勢によるリスクオフが交錯。来週(10月13〜17日)はIMF会合とFRB発言が焦点。
今週(10/6〜10/10)の振り返り
今週のドル円相場は、政治イベントと米中摩擦の再燃が重なり、非常に荒い値動きとなった。
週明けは高市新総裁の誕生を受け、金融緩和継続期待から円売りが進行。先週の終値147.46円から2円の窓を開け149.43円で始まった。その五週を通して大きく上昇し、153円台まで円売りが進んだ。
しかし、10日にトランプ米大統領が対中政策に再び強硬姿勢を示したことでリスク回避の動きが広がり、ダウ平均が一時600ドル超下落。円買いも急速に進行しドル円は151.12円まで下押して越週した。
来週(10/13〜10/17)の注目イベントと見通し
① IMF・G20での政策協調が焦点
来週はIMF・世界銀行年次総会(~18日)とG20財務相・中銀総裁会議が予定されており、為替安定と通貨政策協調が主要テーマとなる見通しである。植田日銀総裁も参加予定で、ここで円安に対する国際的な懸念が共有されれば、さらなる円買い戻しの材料となる可能性がある。
② FRB高官発言と利下げ観測の行方
14日にはパウエル議長、16日にはウォラー理事らの発言が予定されている。
FOMCブラックアウト期間直前ということもあり、今月29日のFOMCでの追加利下げ(0.25%)がほぼ確実視されている中、声明トーンの変化が注目される。報道では米政府機関の閉鎖で指標発表が滞る中でも、FRBは利下げ方向を維持する公算が大きいと報じられている。
③ 高市新政権の政策動向と円安圧力
日本では高市首相が「責任ある積極財政」を掲げ、金融引き締めに慎重姿勢を示している。これにより、市場では「日銀の年内利上げは遠のいた」との見方が優勢となっている。
国債市場では、短期ゾーンの国債利回りが低下する一方、長期ゾーンで上昇する「ツイスト・スティープ」が発生しており、財政拡大期待が円売りを助長していると指摘されている。
ただし、公明党との連立離脱や新内閣の財務相人事の不透明さもあり、政治リスクは依然残る。財政規律の緩みや政権運営の不安定さが顕在化すれば、一時的に円売り圧力が強まる可能性がある。
④ トランプ政権の対中強硬姿勢
今回のリスクオフを引き起こした最大要因は、トランプ大統領の「中国は再び米国を不当に扱っている」との発言である。
米中通商摩擦の再燃により投資家心理は急速に悪化し、リスク資産からの資金逃避が進んだ。 この流れが長引けば、ドル円は円高方向への圧力を受ける公算が大きく、リスクイベントとして引き続き注視が必要である。
テクニカル見通し
市場では155円まで見ている声が多いようだが、4/22起点のトレンドラインをベースとしたチャネル上限で抑えられた可能性が高いと思われる。オシレーターを見てもMACDはトリプルトップ、RSIも買われすぎで失速している。金曜日に大陰線が出たことでセンチメントは悪化し、下がったところで買いが入っても途中で失速するのではないか。
目先は戻り売りを狙っていくタームに入ったと思われる。ただ、日米金利差が縮小したとはいえドル円ショートはコストが高い。回転しつつ回していくことになるだろう。
今年の年末にかけてはジリジリと円高方向に進むと見ているが、先述した4/22起点のトレンドラインが割れると下げが加速しそうな雰囲気があり注意が必要だ。
政治リスクと米中摩擦の板挟み相場に
週明けは金曜日のトランプ政権による対中強硬姿勢による影響を織り込む形で始まりそうだ。月曜日は本邦祝日となるが、為替は先週と同じく窓開けをして寄り付く可能性も高く、注意が必要だ。
日本株については火曜日は大幅な下落が予想されるが、下がったところは買い意欲も強く下げは限定的である可能性がある。ただし、楽観的に「下がったら買い向かう」という取引はリスクが高い。
値動きやヘッドラインを睨みながらリスク管理を怠らず慎重な取引が求められるだろう。