日銀金融政策決定会合とFOMCを通過し、市場の関心は再び関税問題や地政学リスク、米国の経済指標の結果などに移ると考えられる。 トランプ政権の関税発動が市場に与える影響や、日銀の追加利上げ観測がどの程度強まるかが焦点となるだろう。 市場の不確実性が高まる中、短期的な値動きには...
日銀金融政策決定会合とFOMCを通過し、市場の関心は再び関税問題や地政学リスク、米国の経済指標の結果などに移ると考えられる。
トランプ政権の関税発動が市場に与える影響や、日銀の追加利上げ観測がどの程度強まるかが焦点となるだろう。
市場の不確実性が高まる中、短期的な値動きには注意が必要だ。
今週の相場振り返り
今週のドル円は、148円台後半で取引を開始。週初のトランプ大統領とプーチン大統領の電話会談を受けてウクライナ情勢の進展期待が高まりドルが強含む場面があったものの、米ロ首脳会談が不調に終わり、中東情勢の不透明感も加わることで150円台の上値は重くなった。
日銀会合では政策金利の据え置きが決定されたものの、植田総裁が次回会合の「ライブ」化を示唆する発言を行ったことで、円買いが強まる場面もあった。
FOMCでは政策金利の据え置きに加え、量的引き締め(QT)の縮小が発表されたことから、ドルは一時売られる展開となった。
来週の注目イベント
米国の通商政策
トランプ大統領は4月2日に「相互関税」を発動すると発表しており、各国との通商交渉が佳境を迎えている。日本を含めた主要国がどのような対応を取るのかに注目が集まっている。
日銀金融政策と国内要因
植田総裁は、次回会合(4月30日~5月1日)での追加利上げの可能性を示唆している。
4月上旬に発表される経済データ次第では市場の利上げ期待が高まる可能性がある。3月28日に発表される東京都区部の消費者物価指数(CPI)もインフレ動向を示すヒントとなるだろう。
米国の主要経済指標
来週は以下の重要な経済指標が発表される。
- 3月26日(水)21:30:耐久財受注(2月速報)
- 3月27日(木)21:30:GDP確定値(Q4)、新規失業保険申請件数
- 3月28日(金)21:30:PCEコアデフレーター(2月)
注目はPCEコアデフレーターである。
これはFRBが重視するインフレ指標であり、市場の注目度が高い。予想を上回る結果となれば、FRBの利下げ期待が後退し、ドル買いが強まる可能性がある。
地政学リスクと市場動向
トランプ政権の関税政策やウクライナ情勢の行方はリスク要因となるだろう。加えて、EUと米国の通商協議の進展にも注目が集まる。
EUは4月1日に米国の鉄鋼・アルミ関税への報復措置を発動する予定だったが、これを4月中旬に延期した。この動きが米国の追加関税強化につながるかどうかが焦点となる。
予想レンジと戦略
来週のドル円相場の予想レンジは、146.50~151.00円とされている。
- 上値目処(151.00円):米国のPCEコアデフレーターが市場予想を上回り、FRBの利下げ期待が後退した場合、ドル買いが進む可能性がある。3月3日の高値151.30あたりが意識されるだろう。
- 下値目処(146.50円):日銀の追加利上げ観測が強まり、円買いが進む場合は、3月11日安値となる146円ミドルまで下落する可能性がある。