2018年7月第2週(7月23日~27日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2018年7月第2週(7月23日~27日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
加えて、トランプ大統領のドル高けん制発言が、市場参加者にドル続伸の難しさを改めて印象付けた可能性がある。また、本邦勢の円買いを促す可能性もある。一段の円安を期待するより、着実に円買いヘッジ取引を進める可能性が高い。
先週、指摘の通り、本邦では海外から受領する配当金の集積とも言える第一次所得収支(黒字)が拡大する時期に差し掛かっている。事業法人、投資家ともに円買い需要も高まる公算が大きい。底堅さを維持しつつもドル高の勢いは鈍化すると見込まれ、
年初来高値(113.40)回復へのハードルは前週よりも、かなり高くなったと考えられる。
通商摩擦に関しては、米中関係だけでなく、自動車関税を巡る攻防も山場を迎えつつある。米国では公聴会が開かれているが、25 日にはトランプ大統領とユンケル欧州委員会委員長との会談が予定されている。
EU やカナダからは米国に対して報復措置を採るとの声があり、25 日の会談で友好的な結果が出るとは楽観できないが、来週の注目イベントの一つである。
一方、高値圏を推移する米国株や日本株、中国株が下押しする場面ではリスク回避ムードが広がり、ドル・ロングの巻き戻しが起こる見通し。
トランプ米大統領は19日、強いドルは「米国を不利な立場に置く」「中国人民元は底値を付けている」などと発言。米連邦準備理事会(FRB)の利上げについては「さほど喜ばしいとは感じていない」とした。トランプ氏の発言で、ドルは112.85円から112.05円まで下落。米長期債利回りは低下し米国株は下落した。
「米国内でも不人気な関税措置や、最近のドル高/人民元安で追い詰められたトランプ氏からのドル高批判はある程度織り込み済み」(外国銀)という。ドル安は米国の輸出業者の国際競争力を高め、手っ取り早い点数稼ぎになるからだ。
他方、投機筋はドル・ロングの戦略に転じたばかり。足元で蓄積されている投機的なドル・ロングの多くは、株買いと連動しているとみられ、株価で高値波乱が起きた場合には、ドル・ロングの巻き戻しが不可避となりそうだ。
まだトレンドは転換しておらず、来週以降もまだ上昇の余地は残っている、という事も一定の説得力はあります。
しかし、テクニカルとしては、木曜日と金曜日の大きな陰線は、チャートに良くない形を残してしまいました。テクニカル的にも、まだトレンド転換したわけではないですが、来週と再来週でどのようなチャートになるのか、非常に重要です。
特に、2015年から続くトレンドラインを突破したと思っていたら、実は「ダマシ」だった、という事になってしまうと、来月 8 月は慎重になる必要があると思います。
奇しくも、2015年8月は「チャイナ・ショック」が発生。
今また人民元は不穏な動きをしています。
備えが必要になってきているのかもしれません。
経済指標一覧(日本時間)
7/23(月)
- 23:00(欧) 7月 消費者信頼感
- 23:00(米) 6月 中古住宅販売件数
7/24(火)
- 20:00(トルコ) トルコ中銀 政策金利
- 22:45(米) 7月 製造業購買担当者景気指数
- 23:00(米) 7月 リッチモンド連銀製造業指数
7/25(水)
- 07:45(NZ) 6月 貿易収支
- 10:30(豪) 4-6月期 四半期消費者物価
- 23:00(米) 6月 新築住宅販売件数
7/26(木)
- 20:45(欧) 欧州中央銀行(ECB)政策金利
- 21:30(欧) ドラギECB総裁 定例記者会見
- 21:30(米) 6月 耐久財受注
7/27(金)
- 10:30(豪) 4-6月期 四半期卸売物価指数
- 21:30(米) 4-6月期 四半期実質国内総生産
- 23:00(米) 7月 ミシガン大学消費者態度指数
ドル円予想レンジ
三菱東京UFJ銀行
FX Weekly
予想レンジ:111.00 - 113.50
ドル高一服の兆し
7/23 週は、引き続き米経済の相対的な好調さが意識され、ドルが総じて底堅さを維持しそうだ。しかし、先週号でも指摘した通り、米国の長期金利の上昇が抑制されている為、金利面からくるドル押し上げ効果を見込みにくい状況だ。加えて、トランプ大統領のドル高けん制発言が、市場参加者にドル続伸の難しさを改めて印象付けた可能性がある。また、本邦勢の円買いを促す可能性もある。一段の円安を期待するより、着実に円買いヘッジ取引を進める可能性が高い。
先週、指摘の通り、本邦では海外から受領する配当金の集積とも言える第一次所得収支(黒字)が拡大する時期に差し掛かっている。事業法人、投資家ともに円買い需要も高まる公算が大きい。底堅さを維持しつつもドル高の勢いは鈍化すると見込まれ、
年初来高値(113.40)回復へのハードルは前週よりも、かなり高くなったと考えられる。
三井住友銀行
FOREX WEEKLY
予想レンジ:111.90 - 113.50
米国経済だけは堅調
- 通商問題の緊張感は続くが、米国経済は依然として、堅調である。
- パウエル FRB 議長は利上げの継続がベストだと明言した。
- 来週は、通商問題では自動車関税を巡り、米国と EU の会談が注目イベントの一つとなる。
通商摩擦に関しては、米中関係だけでなく、自動車関税を巡る攻防も山場を迎えつつある。米国では公聴会が開かれているが、25 日にはトランプ大統領とユンケル欧州委員会委員長との会談が予定されている。
EU やカナダからは米国に対して報復措置を採るとの声があり、25 日の会談で友好的な結果が出るとは楽観できないが、来週の注目イベントの一つである。
ロイター
来週の外為市場
予想レンジ:111.50 - 114.00
来週は慎重なドル買いへ、株価動向を注視
来週の外為市場では、ドル・ロングの戦略に転じた投機筋が慎重にドル買いを進め、年初来高値の113.40円を試す動きが予想される。一方、高値圏を推移する米国株や日本株、中国株が下押しする場面ではリスク回避ムードが広がり、ドル・ロングの巻き戻しが起こる見通し。
トランプ米大統領は19日、強いドルは「米国を不利な立場に置く」「中国人民元は底値を付けている」などと発言。米連邦準備理事会(FRB)の利上げについては「さほど喜ばしいとは感じていない」とした。トランプ氏の発言で、ドルは112.85円から112.05円まで下落。米長期債利回りは低下し米国株は下落した。
「米国内でも不人気な関税措置や、最近のドル高/人民元安で追い詰められたトランプ氏からのドル高批判はある程度織り込み済み」(外国銀)という。ドル安は米国の輸出業者の国際競争力を高め、手っ取り早い点数稼ぎになるからだ。
他方、投機筋はドル・ロングの戦略に転じたばかり。足元で蓄積されている投機的なドル・ロングの多くは、株買いと連動しているとみられ、株価で高値波乱が起きた場合には、ドル・ロングの巻き戻しが不可避となりそうだ。
私見
2015年からの呪縛から解き放たれたのか、ドル円は正念場
予想レンジ:110.80 - 113.00ドル円は金曜日のクローズにかけて大きく下落。111 円台半ばまで下落して引けました。元々 113 円台まで上昇してきており、トランプ発言がうまく利食いのきっかけに使われた印象はあります。
まだトレンドは転換しておらず、来週以降もまだ上昇の余地は残っている、という事も一定の説得力はあります。
しかし、テクニカルとしては、木曜日と金曜日の大きな陰線は、チャートに良くない形を残してしまいました。テクニカル的にも、まだトレンド転換したわけではないですが、来週と再来週でどのようなチャートになるのか、非常に重要です。
特に、2015年から続くトレンドラインを突破したと思っていたら、実は「ダマシ」だった、という事になってしまうと、来月 8 月は慎重になる必要があると思います。
奇しくも、2015年8月は「チャイナ・ショック」が発生。
今また人民元は不穏な動きをしています。
備えが必要になってきているのかもしれません。