2018年7月第2週(7月9日~13日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2018年7月第2週(7月9日~13日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
また、ポンドドルもじわりと上昇している。来週のドルはこうした他通貨の反発に圧され、徐々に軟化する可能性が高い。
来週の為替市場では 6 月中旬以降のドル高が徐々にピークアウトすることによって、ドル円を含む幅広い通貨に対し、ドルが軟化しそうだ。
但し、米金融政策の正常化が進む限り、新興国からの資本流出は継続する公算が大きい。この為、新興国通貨に対しては、ドルが小幅に上昇すると考えられる。リスク回避の場面ではドルも選好されやすい為、ドル円がサポートされる側面もあるが、リスク回避の程度次第では、ドルを円が上回ろう。依然としてドル円のリスクは下方向ではないか。
しかし、通商摩擦はリスクのピークを一旦、通過した可能性がある。先週、中国の対米投資制限について、米国は既存の枠組みの強化という選択肢の中では穏当な方法を採用することになり、関税発動はあっても、米中通商摩擦が限りなくエスカレートするイメージは薄れている。
加えて、対欧州でも通商関係が報復合戦の様相を呈していたが、ドイツのメルケル首相が自動車の関税引き下げについて米国以外の貿易国とも広く協議する、として風向きが変わってきた。
中国の最近の利下げや人民元相場の動き、その背景にある資金フロー、軟調な中国株式市場、といった中国の状況を踏まえると、中国は米国と貿易戦争を激化させるつもりはないだろう(もともと、なかったとも考えられる)。
代わってマーケットの注目となるのが、米国の経済ファンダメンタルズである。現状、米国の景気指標は極めて強く、通商摩擦で景気スローダウン、というシナリオは今のところ数字には現れていない。
「今後、米国と中国が表面的な落ち着きどころを探っていくのか、それとも、第2弾、第3弾と関税合戦が悪化するのか、来週はそれを見極める時間帯となりそうだ」とトウキョウフォレックス上田ハーロー営業推進室・室長の阪井勇蔵氏は言う。
さらに来週はM&A関連のフローにも注目が集まる。
5日の欧州時間には、ユーロ/円が129円後半まで1円超上昇。上昇の一因として、大陽日酸(4091.T)が米プラクスエア(PX.N)の欧州事業を50億ユーロ(約6438億円)で買収する計画に基づき、ユーロの手当て買いが流入したとの観測が出ていた。
武田薬品工業(4502.T)による、アイルランドの製薬大手シャイアー(SHP.L)の買収に伴う欧州通貨買いニーズもあるとされ、「クロス円の上昇によって、ドル/円がサポートされる局面があるかもしれない」(阪井氏)との指摘が聞かれた。
膠着した相場だったが、一つ大きな収穫はあったと思われる。貿易問題に対するネガティブな反応が次第に緩んできている兆候も見られる点だ。なかなか米中は妥協点を見出すことができないのであろう。
さて来週だが、引き続き相場がファンダメンタルズに戻せるかこうかが焦点であろう。ドル円は今週同様に株にらみの展開も予想される。米株式市場が再度上向きの兆しを見せるようであれば、ドル円は上値余地があるのかもしれない。底堅さは今週確認できている。
少し気になるのが米国債利回りのイールドカーブのフラット化が続いていることだ。教科書的にはイールドカーブのフラット化は、先行き景気減速が予想され、長期債利回りが短期債ほど上がらない時に発生するということになっているが、今回は少し違うような印象もある。
通常、フラット化はドル円にとってはネガティブ要因であることがこれまで多く見受けらているが、今回は少し違うであろう。過度に心配する必要はないのかもしれないが、留意はして置きたいところではある。
テクニカル的に、先週と変わらず、スタンスは強気を維持しています。移動平均線が緩やかに右に上ってきており、来週、何かのきっかけがあれば溜まっていたショートが切らされて、一時的に上昇してくことも考えられます。
ドル円予想 : 110.00 - 111.30
経済指標一覧(日本時間)
7/9(月)
- 22:00(欧) ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、発言
- 28:00(米) 5月 消費者信用残高
7/10(火)
- 17:30(英) 5月 貿易収支
- 21:30(加) 5月 住宅着工件数、住宅建設許可件数
7/11(水)
- 21:30(米) 6月 卸売物価指数
- 23:00(加) カナダ銀行 政策金利
7/12(木)
- 21:30(米) 6月 消費者物価指数(CPI)
7/13(金)
- オプションSQ
- 未定 (中) 6月 貿易収支
ドル円予想レンジ
三菱東京UFJ銀行
FX Weekly
予想レンジ:108.50 - 111.50
迫りくる日米通商協議の影
6 月中旬以降、ユーロが急落し、ドルが堅調に推移した。しかし、そのユーロドルは 1.15 を割り込むことなく持ち直し、それに合わせて 7 月に入ってから、ドル高にも歯止めがかかってきた。また、ポンドドルもじわりと上昇している。来週のドルはこうした他通貨の反発に圧され、徐々に軟化する可能性が高い。
来週の為替市場では 6 月中旬以降のドル高が徐々にピークアウトすることによって、ドル円を含む幅広い通貨に対し、ドルが軟化しそうだ。
但し、米金融政策の正常化が進む限り、新興国からの資本流出は継続する公算が大きい。この為、新興国通貨に対しては、ドルが小幅に上昇すると考えられる。リスク回避の場面ではドルも選好されやすい為、ドル円がサポートされる側面もあるが、リスク回避の程度次第では、ドルを円が上回ろう。依然としてドル円のリスクは下方向ではないか。
三井住友銀行
FOREX WEEKLY
予想レンジ:110.20 - 111.30
通商問題からファンダメンタルズへ
- 米国による対中関税第 1 弾は予定通りに発動。
- 目先は、中国による報復関税の有無、それに対する米国の報復関税の有無、が注目される。
- 他方、欧州と中国にはグローバルな保護主義の拡大を回避する意図があるようだ。
- 更に、米国経済は依然として堅調。そろそろ、リスクオンへ移行できそうである。
しかし、通商摩擦はリスクのピークを一旦、通過した可能性がある。先週、中国の対米投資制限について、米国は既存の枠組みの強化という選択肢の中では穏当な方法を採用することになり、関税発動はあっても、米中通商摩擦が限りなくエスカレートするイメージは薄れている。
加えて、対欧州でも通商関係が報復合戦の様相を呈していたが、ドイツのメルケル首相が自動車の関税引き下げについて米国以外の貿易国とも広く協議する、として風向きが変わってきた。
中国の最近の利下げや人民元相場の動き、その背景にある資金フロー、軟調な中国株式市場、といった中国の状況を踏まえると、中国は米国と貿易戦争を激化させるつもりはないだろう(もともと、なかったとも考えられる)。
代わってマーケットの注目となるのが、米国の経済ファンダメンタルズである。現状、米国の景気指標は極めて強く、通商摩擦で景気スローダウン、というシナリオは今のところ数字には現れていない。
ロイター
来週の外為市場
予想レンジ:109.50 - 112.00
中貿易摩擦の落ち着きどころ探る展開
来週の外為市場で、ドル/円は米中貿易摩擦の落ち着きどころを探る展開となりそうだ。対欧州通貨ではM&Aがらみのフローが円の下落圧力を醸成する可能性がある。このところ堅調なユーロは欧州中央銀行(ECB)の債券再投資の可能性が話題となっており、ECB当局者からの関連発言があれば材料視される余地がある。「今後、米国と中国が表面的な落ち着きどころを探っていくのか、それとも、第2弾、第3弾と関税合戦が悪化するのか、来週はそれを見極める時間帯となりそうだ」とトウキョウフォレックス上田ハーロー営業推進室・室長の阪井勇蔵氏は言う。
さらに来週はM&A関連のフローにも注目が集まる。
5日の欧州時間には、ユーロ/円が129円後半まで1円超上昇。上昇の一因として、大陽日酸(4091.T)が米プラクスエア(PX.N)の欧州事業を50億ユーロ(約6438億円)で買収する計画に基づき、ユーロの手当て買いが流入したとの観測が出ていた。
武田薬品工業(4502.T)による、アイルランドの製薬大手シャイアー(SHP.L)の買収に伴う欧州通貨買いニーズもあるとされ、「クロス円の上昇によって、ドル/円がサポートされる局面があるかもしれない」(阪井氏)との指摘が聞かれた。
Klug FX
とれんど捕物帳
予想レンジ:109.50 - 112.00
次第に貿易問題への反応に変化も?
今週のドル円は膠着状態が続いた。米景気や利上げ期待は温存され日米の金融格差拡大期待から上値をトライしたい気持ちがある一方で、貿易問題が態度を慎重にさせているといったところであろう。膠着した相場だったが、一つ大きな収穫はあったと思われる。貿易問題に対するネガティブな反応が次第に緩んできている兆候も見られる点だ。なかなか米中は妥協点を見出すことができないのであろう。
さて来週だが、引き続き相場がファンダメンタルズに戻せるかこうかが焦点であろう。ドル円は今週同様に株にらみの展開も予想される。米株式市場が再度上向きの兆しを見せるようであれば、ドル円は上値余地があるのかもしれない。底堅さは今週確認できている。
少し気になるのが米国債利回りのイールドカーブのフラット化が続いていることだ。教科書的にはイールドカーブのフラット化は、先行き景気減速が予想され、長期債利回りが短期債ほど上がらない時に発生するということになっているが、今回は少し違うような印象もある。
通常、フラット化はドル円にとってはネガティブ要因であることがこれまで多く見受けらているが、今回は少し違うであろう。過度に心配する必要はないのかもしれないが、留意はして置きたいところではある。
私見
ドル円は値幅がなく、111 円に定着することもできず、どちらにも動かない状況が続いています。ファンダメンタルズとしては、株がぶん投げられている状況から、ドル円も上がりづらいのかもしれまん。テクニカル的に、先週と変わらず、スタンスは強気を維持しています。移動平均線が緩やかに右に上ってきており、来週、何かのきっかけがあれば溜まっていたショートが切らされて、一時的に上昇してくことも考えられます。
ドル円予想 : 110.00 - 111.30