2018年6月第2週(6月4日~6月8日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2018年6月第2週(6月4日~6月8日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
相応の値幅見込むもリスクはやや下向きに
5 月のドル円は続伸し、一時 111.39 を記録した。
しかし、新興国市場の不安定化、伊政局の不透明感、トランプ大統領の保護主義先鋭化などが総じて市場のリスク回避姿勢を高めた。
6月は米国の利上げが見込まれ、一定のドル買い材料となりそう。
ただ、ドル金利やドルの一段高は、市場の不安定化を招き、円高圧力も高め易い。中期的な複数のドル安材料も依然として残る。
短期的なドル高円安余地を想定する一方、年央から年末にかけて緩やかな反落軌道へ回帰するとの従来予想を維持する。
イタリア・スペインを中心とする欧州政局不安、米国による鉄鋼・アルミニウムへの輸入関税と他国の対抗措置、原油先物、資源国通貨・新興国通貨の下落リスクなど、投資家のリスク回避姿勢を強めさせかねない火種がくすぶっている。
日米株式市場も依然不安定な中「ドルはいったん108円を割り込む流れとなりそうだ」と予想する。ただ、107円台では本邦勢による買いがドルの地滑りを押さえ込みそうだ。
また、このところの原油安は、資源国通貨売りのみならずドル高/新興国通貨安に結びつき、リスク回避の円買いを誘発しやすい。
イタリアの政局については、早ければ7月にも再選挙との観測も流れる中、市場はリスク回避の雰囲気を強めた。なかには事実上のユーロの賛否を問う選挙との指摘も出ている。
ただ、「五つ星運動」と「同盟」は再度、政権樹立に向けて協議し、コンテ氏がイタリア首相の要請を受託したほか、問題となっていた財務相にエコノミストのトリア氏を指名した。ユーロ懐疑派のサボナ氏は欧州問題担当相に指名される方向。
政治相場の特徴ではあるが、市場が事前に警戒感を高めた時は、意外に無難な方向に落ち着くものである。英EU離脱の国民投票や米大統領選など安心していると不意を突かれる。
そして、米通商問題だが、トランプ政権は、鉄鋼とアルミの輸入に対して、暫定的に関税賦課の適用除外としていたEU、メキシコ、カナダへの関税賦課を実施すると発表した。
交渉がうまく行かず実力行使に出たようだ。上記の3ヵ国も報復関税で対抗する姿勢を示している。特にカナダの対応はやや意外だったようだ。
さて来週だが、G7首脳会談のほかは大きなイベントもないようだ。
相場の関心がファンダメンタルズに戻るかがポイントの一つのようにも思われる。もし、ファンダメンタルズに戻った場合、ユーロや円を買う材料はあるのであろうか。
その場合、ドル高が加速するのかというと疑問点も多い。ユーロはかなり下げ過ぎ感が高まっている。ECBは出口戦略を後退させようという気配はない。また、政治リスクが燻り、円売りを強める状況にもないものと思われる。
ドル円の直近高値は111.40円付近だが、ファンダメンタルズ相場に戻ったとしても、そこまでの戻りは想定できず、せいぜい110円台前半に来ている200日線付近までが来週は限界のようにも思われる。
しかし、108 円では活発な買いも入り、大きく下ヒゲを付けて越週しました。
テクニカル的には、日足50日移動平均線がサポートとなり反発しています。ドルを買う向きは多いようにも見えますね。
今週は、心理的節目である 110 円、その辺りに横ばいで壁となっている 200 日移動平均線が強く意識されるのではないでしょうか。ここはファンダメンタルズとしても、テクニカルとしてもかなり意識され、特に大きな経済指標の発表もないことから、動きづらい週になりそうです。
そして、前回の高値である 111 円半ばからの下落の仕方が良くなく、チャート的にはそこまで戻してさらに上値を追うことは相当難しいのではないかと思います。
ドル円予想 : 108.00 - 111.00
経済指標一覧(日本時間)
6/4(月)
- 08:50(日)5月 マネタリーベース
6/5(火)
- 13:30(豪)豪準備銀行 政策金利発表
- 22:00(欧)ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、発言
- 23:00(米)5月 ISM非製造業景況指数
6/6(水)
- 10:30(豪) 1-3月期 四半期国内総生産
- 21:30(米) 4月 貿易収支
6/7(木)
- 18:00(欧) 1-3月期 四半期域内総生産
6/8(金)
- 未定(中) 5月 貿易収支
- 08:50(日) 1-3月期 四半期実質国内総生産
- 14:00(日) 5月 景気ウオッチャー調査-現状判断 DI
- 21:30(加) 5月 新規雇用者数、失業率
ドル円予想レンジ
三菱東京UFJ銀行
FX Monthly
6月 月間予想レンジ:105.50 - 112.50
相応の値幅見込むもリスクはやや下向きに
5 月のドル円は続伸し、一時 111.39 を記録した。しかし、新興国市場の不安定化、伊政局の不透明感、トランプ大統領の保護主義先鋭化などが総じて市場のリスク回避姿勢を高めた。
6月は米国の利上げが見込まれ、一定のドル買い材料となりそう。
ただ、ドル金利やドルの一段高は、市場の不安定化を招き、円高圧力も高め易い。中期的な複数のドル安材料も依然として残る。
短期的なドル高円安余地を想定する一方、年央から年末にかけて緩やかな反落軌道へ回帰するとの従来予想を維持する。
ロイター
来週の外為市場
予想レンジ:107.50 - 111.00
来週はリスク回避の火種くすぶり、ドル108円割れも
来週の外為市場では、ドル/円は108円割れを試す展開が予想される。イタリア・スペインを中心とする欧州政局不安、米国による鉄鋼・アルミニウムへの輸入関税と他国の対抗措置、原油先物、資源国通貨・新興国通貨の下落リスクなど、投資家のリスク回避姿勢を強めさせかねない火種がくすぶっている。
日米株式市場も依然不安定な中「ドルはいったん108円を割り込む流れとなりそうだ」と予想する。ただ、107円台では本邦勢による買いがドルの地滑りを押さえ込みそうだ。
また、このところの原油安は、資源国通貨売りのみならずドル高/新興国通貨安に結びつき、リスク回避の円買いを誘発しやすい。
Klug FX
とれんど捕物帳
予想レンジ:108.50 - 111.50
ファンダメンタルズに意識を戻せるか注目も
今週は政治相場だったという一言であろう。序盤はイタリア、後半は米通商問題が波乱要因となった。イタリアの政局については、早ければ7月にも再選挙との観測も流れる中、市場はリスク回避の雰囲気を強めた。なかには事実上のユーロの賛否を問う選挙との指摘も出ている。
ただ、「五つ星運動」と「同盟」は再度、政権樹立に向けて協議し、コンテ氏がイタリア首相の要請を受託したほか、問題となっていた財務相にエコノミストのトリア氏を指名した。ユーロ懐疑派のサボナ氏は欧州問題担当相に指名される方向。
政治相場の特徴ではあるが、市場が事前に警戒感を高めた時は、意外に無難な方向に落ち着くものである。英EU離脱の国民投票や米大統領選など安心していると不意を突かれる。
そして、米通商問題だが、トランプ政権は、鉄鋼とアルミの輸入に対して、暫定的に関税賦課の適用除外としていたEU、メキシコ、カナダへの関税賦課を実施すると発表した。
交渉がうまく行かず実力行使に出たようだ。上記の3ヵ国も報復関税で対抗する姿勢を示している。特にカナダの対応はやや意外だったようだ。
さて来週だが、G7首脳会談のほかは大きなイベントもないようだ。
相場の関心がファンダメンタルズに戻るかがポイントの一つのようにも思われる。もし、ファンダメンタルズに戻った場合、ユーロや円を買う材料はあるのであろうか。
その場合、ドル高が加速するのかというと疑問点も多い。ユーロはかなり下げ過ぎ感が高まっている。ECBは出口戦略を後退させようという気配はない。また、政治リスクが燻り、円売りを強める状況にもないものと思われる。
ドル円の直近高値は111.40円付近だが、ファンダメンタルズ相場に戻ったとしても、そこまでの戻りは想定できず、せいぜい110円台前半に来ている200日線付近までが来週は限界のようにも思われる。
私見
政治的リスクが多く、円が買われる動きとなりました。しかし、108 円では活発な買いも入り、大きく下ヒゲを付けて越週しました。
テクニカル的には、日足50日移動平均線がサポートとなり反発しています。ドルを買う向きは多いようにも見えますね。
今週は、心理的節目である 110 円、その辺りに横ばいで壁となっている 200 日移動平均線が強く意識されるのではないでしょうか。ここはファンダメンタルズとしても、テクニカルとしてもかなり意識され、特に大きな経済指標の発表もないことから、動きづらい週になりそうです。
そして、前回の高値である 111 円半ばからの下落の仕方が良くなく、チャート的にはそこまで戻してさらに上値を追うことは相当難しいのではないかと思います。
ドル円予想 : 108.00 - 111.00