2017 年 1 月 第二週(1月9日から13日)の、ドル円相場の予想と、経済指標のまとめからマーケットの見通しを考察します。
2017 年 1 月 第二週(1月9日から13日)の、ドル円相場の予想と、経済指標のまとめからマーケットの見通しを考察します。
9-13日の週は、米国において12月輸入物価、12月PPI(生産者物価指数)、12月小売売上高、1月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)など重要経済指標の発表に加え、トランプ次期大統領の会見やイエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長など複数のFRB高官の講演など控えるため注意したい。
ドル・円相場はトランプラリーが始まって以来、上回り続けていた25日移動平均線を、5日に2カ月ぶりに割り込んだこともあり、調整色が強まっている。一方で、米景気拡大や利上げ期待が下支えとなりそうだ。上値めどは1月3日に付けた高値118円60銭近辺、下値は114円ちょうどとしたい。
さらに調整が深まるかどうかは米雇用統計やトランプ氏の会見次第見られている。
基本的には従来路線の確認にとどまると見られている。ただ、トランプ氏やその周辺からドル高けん制の発言があれば、ドル/円にはネガティブ材料となる。
こうしたイベントをこなしながらドル/円が上昇するには、米長期金利や米株価の上昇が必要と見られている。株価動向に関心が寄せられそうだ。
人民元の動向が関心を集める中国では、7日外貨準備のほか、10日に消費者物価指数、13日に貿易収支の発表がある。
2枚目は減税施策に対する具体的見解である。
FRBが公表した昨年12月FOMC議事要旨では、次期政権の財政刺激策に伴って経済成長が加速し得るとし、利上げペースが速まるとの見方が示されている。しかし、夢想な減税策や拡張的な財政政策は議会共和党との現実的な実効性も探られ、ドルの上下ブレに直結する可能性となろう。
3枚目は中国を“為替操作国”として認定するなど脅威論を軸とした強硬的な政治カードをちらつかせるのか、である。貿易摩擦での対立は報復措置にも繋がりかねず、米国の輸出が抑制されれば米経済への不安が増すとしてドル高抑制を想起させる。
1/9週のドル円上値焦点は1/7高値117.445、1/4高値118.20。超えれば昨年12/15と1/13高値圏となる118.61-68が視野。下値焦点は115円維持、昨年12/13-14安値圏114.76-77。割れると月足ボリンジャーバンド中心線114.10、12/9安値114.00維持が意識される。維持失敗と11/9安値101.18から118.68高値迄の“トランプラリー”終焉としてフィボナッチ38.2% 押し112.186が最大リスクとして推考される。
11 月の平均時給(前年比)は、2.5%増と前月実績(同 2.8%)を下回り、労働市場改善と賃金上昇を起点とするインフレ高進、利上げ加速とのシナリオが水を注される結果となった。同様の結果が続けば、依然として2017 年の利上げは緩やか(半年毎の 2 回程度)との見方が強まろう。
一方、賃金上昇圧力に加速がみられると、トランプ新政権の財政出動への期待に、利上げペース加速との見方が重なり、米国債利回りが短期から長期にかけて上昇し、再びドル買いを後押しする可能性が高まる。
ただ、金利先物市場は現時点で概ね 2017 年に関して、2 回の利上げしか織り込んでいない。利上げペース加速を織り込みに行く過程で、史上最高値圏にある米国の株式相場に対する重石として働く可能性に留意が必要だろう。
ここのところ、トランプ次期大統領は積極的に個社の経営に対して介入する姿勢を鮮明にしている。このため、就任が近づくに連れ、保護主義色が強い大統領誕生への警戒が意識される公算が大きい。
基本的に、規制緩和や法人税減税、財政出動による景気浮揚など企業収益にとってのプラス要因に対し、今後、徐々にドル高や金利上昇、保護主義台頭(に伴うコスト増)といったマイナス要因にも市場の関心が向かう可能性が高まりつつある。市場は、まだドルロング(円ショート)、米国債ショートに傾いたままと言え、人民元相場の急変などを含め、リスク回避的な動きが強まれば、ドル円の下落、米国債利回りの低下圧力が強まると考えられる。
雇用統計では平均時給に変化がみられたことから、最終的にはドル高への流れへ回帰しています。
移動平均線からはやや下落リスクも残るものの、下値では買い需要はまだ強いことから、鬼門となっている 118 円での三度目のトライに注目しています。
仮にこのラインを突破するほど強ければ、120 円が次の目処として意識されるのではないでしょうか(かなり楽観的な見方ですが…)。
下に対してのリスクは、11 日のトランプ次期大統領の会見・金曜日のオプション SQ を見ています。
また、今週あったような中国当局の介入による人民元高が再びあるようだと、ドル高にはブレーキがかかる可能性が高いです。20 日のトランプ大統領の就任日までしばらくその動向にも注意を払う必要があります。(トランプ大統領は、初日から中国を「為替操作国」と認定するとの声もある)
予想 : 114.50 - 118.20
経済指標一覧(日本時間)
01/09(月)成人の日・日本市場休場
- 16:00 (独) 11 月 貿易収支,経常収支
- 19:00 (欧) 11 月 失業率
- 24:00 (米) 12 月 米労働市場情勢指数(LMCI)
- 29:00 (米) 11 月 消費者信用残高
01/10(火)
- 10:30 (中) 12 月 消費者物価指数(CPI),生産者物価指数(PPI)
- 24:00 (米) 11 月 卸売在庫
01/11(水)トランプ次期大統領 記者会見
- 18:30 (英) 11 月 貿易収支,鉱工業生産,製造業生産
- 23:15 (英) カーニー BOE 総裁 発言
01/12(木)
- 08:50 (日) 11 月 国際収支・経常収支,貿易収支
- 14:00 (日) 12 月 景気ウォッチャー調査 - 現状判断 DI
- 21:30 (欧) ECB 理事会議事要旨 ★★
- 22:30 (米) 前週分 新規失業保険申請件数
01/13(金)オプション SQ(特別清算指数)
- 未定 (中) 12 月 貿易収支(米ドル,人民元)
- 09:00(米) イエレン FRB 議長 発言 ★★
- 22:30(米) 12 月 小売売上高,卸売物価指数(PPI)★★
今週のドル円予想レンジ予想
モーニングスター
米12月雇用統計に注目
114.00 - 118.60
来週の東京外国為替市場見通し (2017/01/06 18:05)目先、米国では12月雇用統計が注目される。市場予想を下回るとドル・円の下げ圧力となりそう。また、米11月貿易収支も注目が怠れない。
9-13日の週は、米国において12月輸入物価、12月PPI(生産者物価指数)、12月小売売上高、1月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)など重要経済指標の発表に加え、トランプ次期大統領の会見やイエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長など複数のFRB高官の講演など控えるため注意したい。
ドル・円相場はトランプラリーが始まって以来、上回り続けていた25日移動平均線を、5日に2カ月ぶりに割り込んだこともあり、調整色が強まっている。一方で、米景気拡大や利上げ期待が下支えとなりそうだ。上値めどは1月3日に付けた高値118円60銭近辺、下値は114円ちょうどとしたい。
ロイター
来週のドル/円は下値探る、次期米大統領の政策見極め
114.00 - 117.00
来週の外為市場 (2017/01/06 16:30)来週の外為市場でドル/円は、トランプ次期米大統領の政策スタンスをにらみながら下値を探る展開になりそうだ。足元では一時期のドル高の熱狂が落ち着いてきており、米雇用統計が弱い数字になったり、トランプ氏や周辺からドル高けん制の発言が出れば、調整色が強まるリスクが警戒されている。
さらに調整が深まるかどうかは米雇用統計やトランプ氏の会見次第見られている。
基本的には従来路線の確認にとどまると見られている。ただ、トランプ氏やその周辺からドル高けん制の発言があれば、ドル/円にはネガティブ材料となる。
こうしたイベントをこなしながらドル/円が上昇するには、米長期金利や米株価の上昇が必要と見られている。株価動向に関心が寄せられそうだ。
人民元の動向が関心を集める中国では、7日外貨準備のほか、10日に消費者物価指数、13日に貿易収支の発表がある。
岡三オンライン証券
「3枚のジョーカー」を抱えたドル円トランプ占い
114.00 - 118.60
武部力也の週間為替相場見通し(2017/01/06)1/11のトランプ会見に筆者が警戒しているのは、3枚のジョーカーだ。1枚目はBroad(FRB)ドルインデックスを見る限り明らかなドル高進行であるが、米国への資金流入と米経済の改善・成長の結果としてのドル高なら“黙認”するのか、と言う点である。
2枚目は減税施策に対する具体的見解である。
FRBが公表した昨年12月FOMC議事要旨では、次期政権の財政刺激策に伴って経済成長が加速し得るとし、利上げペースが速まるとの見方が示されている。しかし、夢想な減税策や拡張的な財政政策は議会共和党との現実的な実効性も探られ、ドルの上下ブレに直結する可能性となろう。
3枚目は中国を“為替操作国”として認定するなど脅威論を軸とした強硬的な政治カードをちらつかせるのか、である。貿易摩擦での対立は報復措置にも繋がりかねず、米国の輸出が抑制されれば米経済への不安が増すとしてドル高抑制を想起させる。
1/9週のドル円上値焦点は1/7高値117.445、1/4高値118.20。超えれば昨年12/15と1/13高値圏となる118.61-68が視野。下値焦点は115円維持、昨年12/13-14安値圏114.76-77。割れると月足ボリンジャーバンド中心線114.10、12/9安値114.00維持が意識される。維持失敗と11/9安値101.18から118.68高値迄の“トランプラリー”終焉としてフィボナッチ38.2% 押し112.186が最大リスクとして推考される。
三菱東京UFJ銀行
持ち高調整主体の下落
114.25 - 118.25
FX Weekly(2017/01/06)来週のドル円は、本日の米雇用統計結果に左右されそうだ。とは言え、失業率は既に低く、注目度は高くない。今月も平均時給の動向が注目されそうだ。
11 月の平均時給(前年比)は、2.5%増と前月実績(同 2.8%)を下回り、労働市場改善と賃金上昇を起点とするインフレ高進、利上げ加速とのシナリオが水を注される結果となった。同様の結果が続けば、依然として2017 年の利上げは緩やか(半年毎の 2 回程度)との見方が強まろう。
一方、賃金上昇圧力に加速がみられると、トランプ新政権の財政出動への期待に、利上げペース加速との見方が重なり、米国債利回りが短期から長期にかけて上昇し、再びドル買いを後押しする可能性が高まる。
ただ、金利先物市場は現時点で概ね 2017 年に関して、2 回の利上げしか織り込んでいない。利上げペース加速を織り込みに行く過程で、史上最高値圏にある米国の株式相場に対する重石として働く可能性に留意が必要だろう。
ここのところ、トランプ次期大統領は積極的に個社の経営に対して介入する姿勢を鮮明にしている。このため、就任が近づくに連れ、保護主義色が強い大統領誕生への警戒が意識される公算が大きい。
基本的に、規制緩和や法人税減税、財政出動による景気浮揚など企業収益にとってのプラス要因に対し、今後、徐々にドル高や金利上昇、保護主義台頭(に伴うコスト増)といったマイナス要因にも市場の関心が向かう可能性が高まりつつある。市場は、まだドルロング(円ショート)、米国債ショートに傾いたままと言え、人民元相場の急変などを含め、リスク回避的な動きが強まれば、ドル円の下落、米国債利回りの低下圧力が強まると考えられる。
私見
ドル円は年明けから一旦 118 円に乗せた後、上値の重さが確認され、人民元相場の急上昇(ドルの急落)からやや深い調整となりました。しかしながら、115 円台前半では積極的なドル買い需要がみられ、雇用統計もあったことで、週後半はやや慌ただしい動きでした。雇用統計では平均時給に変化がみられたことから、最終的にはドル高への流れへ回帰しています。
移動平均線からはやや下落リスクも残るものの、下値では買い需要はまだ強いことから、鬼門となっている 118 円での三度目のトライに注目しています。
仮にこのラインを突破するほど強ければ、120 円が次の目処として意識されるのではないでしょうか(かなり楽観的な見方ですが…)。
下に対してのリスクは、11 日のトランプ次期大統領の会見・金曜日のオプション SQ を見ています。
また、今週あったような中国当局の介入による人民元高が再びあるようだと、ドル高にはブレーキがかかる可能性が高いです。20 日のトランプ大統領の就任日までしばらくその動向にも注意を払う必要があります。(トランプ大統領は、初日から中国を「為替操作国」と認定するとの声もある)
予想 : 114.50 - 118.20