今週はトランプ大統領の相互関税の発表により突如リスクオフとなり、世界同時株安となった。 今週の相場動向の振り返り 今週のドル円相場は、リスク回避の円買いと米ドルの全面安を背景に大幅な下落となった。 週初には株式市場の下落や米ロ関係への懸念が重なり、一時は148円台後半まで...
今週はトランプ大統領の相互関税の発表により突如リスクオフとなり、世界同時株安となった。
今週の相場動向の振り返り
今週のドル円相場は、リスク回避の円買いと米ドルの全面安を背景に大幅な下落となった。
週初には株式市場の下落や米ロ関係への懸念が重なり、一時は148円台後半まで下押しされた。米国の経済指標が予想を下回ったこともあり、相場は上値の重い展開が続き、150円台では戻り売りが優勢であった。
そんななか、トランプ大統領による「基礎関税」および「相互関税」の発表が市場の流れを変え、ドル円は147円を割り込む急落となった。その後も、米サービス業の景況感指数が市場予想を下回ったことで、145円台前半まで水準を切り下げている。
円とスイスフランが上昇する典型的なリスク回避の地合いとなり、G10通貨の中ではドルが全面安となった。
「関税」に振り回される相場はいつまで続くのか
今回の関税措置は選挙公約に沿った内容であるが、既存の個別関税と重なることで、実質的な関税率はさらに高くなる。基礎関税は5日、相互関税は9日に発動される予定であり、政策実行のタイミングが市場の警戒感を高めている。
直前での方針撤回や延期、修正の可能性に注意が必要だ。仮に政策変更があれば、足元のドル安・円高の巻き戻しが起きる展開も想定されよう。
足元では、米経済の減速懸念が強まっており、スタグフレーションへの警戒感が台頭している。これにより、市場では5月のFOMCでの利下げ開始を織り込む動きが加速しており、ドル安圧力が強まっている。
日銀の次なる利上げは後退か?
日本においては、すでに自動車に対して25%の関税が発動されており、その他品目にも24%の関税が適用されれば、国内経済に対する下押し圧力は避けられない。植田日銀総裁および内田副総裁も国会答弁にてこの点に言及しており、関税政策が金融政策判断に影響を与える可能性を示唆した。
本来であれば、インフレと賃上げ動向を背景に日銀の追加利上げを見込んだ円買いが続いていたが、こうした外部要因によって、早期の利上げ期待は後退しつつある。
円買いに傾斜していた投機筋のポジションにはコスト負担が生じており、巻き戻しリスクが高まっている。国債利回りも幅広い年限で低下しており、現時点での利上げスタンスの撤回は見られないものの、政策修正の可能性が織り込まれつつある。
来週7日には日銀支店長会議が予定されており、短観では反映されなかった地方企業の声が共有されることになる。関税政策の実施を受けた地方経済の現状が明らかになれば、利上げの後ずれ観測が一段と強まる可能性もあるだろう。
テクニカル分析と市場予想
テクニカル的には下方向への圧力が強くかかるが、ドル円は短期的にはやや下げ過ぎ感がある。4/4の引けでは反発し、週足の前回安値 (146.53) を実体で割ることはできなかった。短期的には大きく自律反発することもあるだろう。
- 高値目処:148.70 3/31安値。3/28高値からの61.8%戻し。
- 安値目処:143.70 昨年9/16から1/1高値の78.6%戻し。
まとめ
来週のドル円相場は、米国CPI(4/10 21:30)の結果やFOMC議事録(4/10 3:00)の内容に強く影響される展開が予想される。
関税リスクと米インフレ指標の結果次第で方向感が大きく変わる可能性があり、荒れ模様の往来相場となる可能性が高い。ボラティリティが高いため、リスク管理の徹底が求められる。