FRBが50bpの利下げを決定 今週のFOMCでFRBは50bpの利下げを決めた。今月初旬の段階ではマーケットは25bpの利上げを想定していたような雰囲気を感じたが、9/13にTHE WALL STREET JOURNAL の Nikc氏の記事が出たことで50bpの利下げを急...
FRBが50bpの利下げを決定
今週のFOMCでFRBは50bpの利下げを決めた。今月初旬の段階ではマーケットは25bpの利上げを想定していたような雰囲気を感じたが、9/13にTHE WALL STREET JOURNAL の Nikc氏の記事が出たことで50bpの利下げを急速に織り込み始めた。
これにより週明け9/16のドル円は一時139円ミドルまで円高が進んだ。ただ、その後は突っ込み売りもあったのかショートカバーと9/17日の米小売売上高の結果が想定より強かったことで142円まで戻している。
そして18日(日本時間では19日早朝)のFOMCでは事前の予想通り50bpの利下げが決定された。
IMMの投機筋ポジションはFOMC前までは円買いとなっていたが、FOMC通過後はふたたび円安方向へと進んでいる。「(円を)噂で買って、事実で売る」という展開になった。
FOMCの利下げ(しかも50bp)により円高が進むと思われていた思惑とは逆の展開となった。
日銀金融政策決定会合の現状維持
さて、同じ週の金曜日には本邦の日銀金融政策決定会合があったが、こちらは「現状維持」となった。9/27に投開票される自民党総裁選への配慮もあったようにも思われるが、植田総裁は、前回の利上げ決定から足下は円安が解消されたことで、利上げ判断の時間的余裕ができたと述べるとともに、米国経済の下振れリスクについても触れた。
これにより早急な利上げが遠のいたと判断され、ドル円はさらに円安が進み一時144円ミドルまで付けて越週となった。
円高トレンドは終わったのか?
FOMCのドットチャートでは、2024年は年内100bpの利下げを示唆している。今回50bp利下げしたことで先のNickの記事の通り「利下げを大きく始めた」ことになるが、これについても上振れのリスクがある。
FRBの使命には「雇用の最大化」も掲げられている。現時点で発表されている年末時点の失業率見通しは4.4%となっているものの、直近8月が4.2%であることからこの数値がさらに悪化した場合は年内の利下げがさらに大きくなるリスクには十分注意が必要だろう。
日銀に関しては現状では年内もう1回の25bp利上げがされると予想されているが、先に述べた自民党総裁選の結果如何では日銀の金融政策についても「意見」が出されるかもしれない。
現在、上位に上がっている三者のスタンスとしては、高市氏は「利上げ反対派」であり、石破氏、小泉氏はともに「利上げ賛成派」である。高市氏は金融緩和路線の継続を訴えており、株式市場からも氏が代表に選ばれることが熱望されている。逆に石破氏、小泉氏は「金利ある世界」を掲げているため、マーケットにとっては悪材料となるだろう。
以上から、FRBの利下げについては年内粛々と行われることが予想され、それにより米金利が低下することで(一時的に円安に振れる時はあるにせよ)ドル円にも円高方向の圧力がかかっていくものと思われる。
日銀に関しては直近の自民党新総裁、11月の米大統領選挙を睨みながら米国経済の先行きも考慮する必要があり、個人的にはさらなる利上げは難しいのではないかとも思う。
ドル円はどうなるか
目先円安に進むドル円だが、一時騒がれていた「円キャリートレード」が再開して再び160円を目指すような展開があるかと言われたら、私はそうは思わない。
米経済はソフトランディング可能、という楽観的な見方が広がっているが、米国だけではなく他の国の中央銀行も次々に利下げを決定する中で、さらに各国とも経済の先行きが不透明な状況であることは忘れてはならないからだ。
リセッションとなれば金利は徐々に下がっていくだろう。その場合、株も無傷ではいられない。
ドル円は心理的な安値でもある140円で足場を固めたことでいったん上昇しているが、これは自律反発の範囲内であると言える。147円程度まで戻りはあるかもしれないが、8月安値から切り返した高値149.39あたりが意識され149円に近づくだけでもかなり上値は重くなってくるものと予想される。
短期的にはいったん下値を拾う戦略で良いと思うが、今年前半までの時のような「ドル円は落ちたら拾えばお小遣いチャンス」という甘い考えは捨て去るべきだろう。ロングをしつつ節目では利食いして、回転させていくイメージで考えている。