2017年8月第5週から9月第1週(8月28日~9月1日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2017年8月第5週から9月第1週(8月28日~9月1日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
もともとこうした見方が台頭した切っ掛けとなったのは、6 月 25 日付けの国際決済銀行(BIS)の年次報告にて、各国の中央銀行は金融緩和の縮小に着手するべきと指摘されていたことだ。市場では改めて日銀の突出した緩和姿勢が意識され、円安期待が高まった。
一方、こうした見方が沈静化し、逆に 108 円台まで押し戻されたのは、北朝鮮を巡る地政学的リスクの台頭があったにせよ、本質的には米国を筆頭とする低インフレ見通しの高まりや米国の利上げ期待の後退と米国債の利回り低下だ。この週末、イエレンFRB議長ほかドラギECB総裁らが、改めてどういった方向性を示すのかが重要となろう。
加えて、来週の週末に控える米雇用統計(8 月分)において、特に最近注目される平均時給の伸びも材料視されそうだ。
米政治の混乱や北朝鮮を巡る地政学リスクが一時的にせよ落ち着けば、ドルのショートがたまっているだけに自律反発に向かいやすい。堅調な米経済指標が出れば、年内の追加利上げ観測が高まり、ドル買いのきっかけになるとみられている。
9月1日の8月雇用統など、米国では重要指標の発表が相次ぐ。とりわけ重要視されるのがインフレ動向。米経済は総じて底堅いものの、インフレの伸びが鈍いことから市場は追加利上げに懐疑的となっており、8月31日発表の7月PCEコアデフレーターや、雇用統計の中でも時間当たり賃金が注目を集めそうだ。
ユーロは、欧州中央銀行(ECB)による金融政策の正常化への思惑がくすぶり、中長期的には上方向とみられている。ただ、足元でユーロロングが積み上がってきており、短期的には「いったん調整が入ってもおかしくない」(別の国内金融機関)との見方もある。
デフォルト(債務不履行)懸念が渦巻く綱渡り時期に果たしてイエレン議長は縮小開始の決断を示せるのか。晩夏の「トランプ音頭」には警戒を更に高めておく必要がありそうだ。
8/28週のドル円上値焦点は8/23高値109.835、110円の節目。超えれば8/17高値110.39、そして8/6高値110.96、8/2-4高値111.00-06が期待値。7/28高値111.345を超えても日足一目均衡表雲下限111.645の抵抗から7/27高値111.72や112円台は当面望外か。
下値焦点は8/24安値108.824、8/21安値108.625、8/18安値108.59、週足雲下限108.438、4/17-19安値圏108.11-31-37。割れた場合は昨年11/15安値107.76が意識されると推考。
もちろん、北朝鮮リスクが再び高まらなければ、ですが。
トランプ大統領の信任もすでに地に落ちており、中長期的にはトランプラリーが「無かったもの」となってもおかしくないですが、まだレンジの中にいるイメージです。
予想 : 108.50 - 111.20
経済指標一覧(日本時間)
08/28(月)英休場(Summer Bank holiday)
- 8-2月期決算企業権利付最終売買日
08/29(火)
- 8-2月期決算企業権利落ち日
- 08:30(日) 7月 失業率,有効求人倍率
- 23:00(米) 6月 ケース・シラー米住宅価格指数
08/30(水)
- 21:15(米) 8月 ADP 雇用統計 ☆☆
- 21:30(米)4-6月期 四半期実質国内総生産(GDP、改定値)☆☆
08/31(木)
- 8-2月期決算企業権利確定日
- 18:00(欧) 8月 消費者物価指数(HICP)☆☆
- 21:30(加) 4-6月期 四半期国内総生産(GDP)☆☆
- 21:30(米) 7月 個人消費支出 ☆☆
- 22:45(米) 8月 シカゴ購買部協会景気指数
09/01(金)
- 21:30(米) 8月 雇用統計,失業率,平均時給 ☆☆☆
- 23:00(米) 8月 ISM 製造業景況指数 ☆☆
ドル円予想レンジ
三菱東京UFJ銀行
FX Weekly
予想レンジ:108.00 - 111.00
「日銀 vs 欧米主要中銀」の再燃か沈静か
来週のドル円の方向性は、まず今週末のジャクソンホールを経て、足もとで沈静化している日銀と欧米主要中銀との金融政策の方向格差が改めて意識され、円安圧力が高まるかどうかであろう。もともとこうした見方が台頭した切っ掛けとなったのは、6 月 25 日付けの国際決済銀行(BIS)の年次報告にて、各国の中央銀行は金融緩和の縮小に着手するべきと指摘されていたことだ。市場では改めて日銀の突出した緩和姿勢が意識され、円安期待が高まった。
一方、こうした見方が沈静化し、逆に 108 円台まで押し戻されたのは、北朝鮮を巡る地政学的リスクの台頭があったにせよ、本質的には米国を筆頭とする低インフレ見通しの高まりや米国の利上げ期待の後退と米国債の利回り低下だ。この週末、イエレンFRB議長ほかドラギECB総裁らが、改めてどういった方向性を示すのかが重要となろう。
加えて、来週の週末に控える米雇用統計(8 月分)において、特に最近注目される平均時給の伸びも材料視されそうだ。
ロイター
来週の外為市場
予想レンジ:108.00 - 111.00
来週のドル/円は反発うかがう、材料は堅調な米経済指標か
来週の外為市場でドル/円は、リバウンドの機会をうかがう展開が予想されている。米政治の混乱や北朝鮮を巡る地政学リスクが一時的にせよ落ち着けば、ドルのショートがたまっているだけに自律反発に向かいやすい。堅調な米経済指標が出れば、年内の追加利上げ観測が高まり、ドル買いのきっかけになるとみられている。
9月1日の8月雇用統など、米国では重要指標の発表が相次ぐ。とりわけ重要視されるのがインフレ動向。米経済は総じて底堅いものの、インフレの伸びが鈍いことから市場は追加利上げに懐疑的となっており、8月31日発表の7月PCEコアデフレーターや、雇用統計の中でも時間当たり賃金が注目を集めそうだ。
ユーロは、欧州中央銀行(ECB)による金融政策の正常化への思惑がくすぶり、中長期的には上方向とみられている。ただ、足元でユーロロングが積み上がってきており、短期的には「いったん調整が入ってもおかしくない」(別の国内金融機関)との見方もある。
岡三オンライン証券
武部力也の週間為替相場見通し
予想レンジ:107.80 - 111.00
晩夏の「トランプ音頭」にドル円が警戒を強める局面
8/17に慎重なハト派と目されているミネアポリス地区連銀カシュカリ総裁が「バランスシート縮小の開始時期は債務上限引き上げ問題の行方を考慮する」と明言。9/20のFOMC連邦公開市場委員会は債務上限審議の真っただ中に開催されるのだ。デフォルト(債務不履行)懸念が渦巻く綱渡り時期に果たしてイエレン議長は縮小開始の決断を示せるのか。晩夏の「トランプ音頭」には警戒を更に高めておく必要がありそうだ。
8/28週のドル円上値焦点は8/23高値109.835、110円の節目。超えれば8/17高値110.39、そして8/6高値110.96、8/2-4高値111.00-06が期待値。7/28高値111.345を超えても日足一目均衡表雲下限111.645の抵抗から7/27高値111.72や112円台は当面望外か。
下値焦点は8/24安値108.824、8/21安値108.625、8/18安値108.59、週足雲下限108.438、4/17-19安値圏108.11-31-37。割れた場合は昨年11/15安値107.76が意識されると推考。
私見
ジャクソンホール会議では、ドル円は一気に仕掛け的な売りに押されたものの、下値は限られました。テクニカル的にも 108 円の値固めがしっかりしてきており、下げ止まりが確認できるようであれば一旦は自律的な反発が起こってもおかしくないと思われます。もちろん、北朝鮮リスクが再び高まらなければ、ですが。
トランプ大統領の信任もすでに地に落ちており、中長期的にはトランプラリーが「無かったもの」となってもおかしくないですが、まだレンジの中にいるイメージです。
予想 : 108.50 - 111.20