2017年8月第3週(8月21日~25日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2017年8月第3週(8月21日~25日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
特に、予想を上回った雇用統計後の高値(111.05)や今週の値動きから 111 円付近が当面の上値目処として意識されそうだ。
一方、来週はジャクソンホールでの経済シンポジウムにて、イエレン議長やドラギECB総裁の発言機会を控え、それまでの間、様子見姿勢が強まり、ドル円も大きくは動きにくいだろう。とは言え、6/27 のドラギ総裁発言を号砲として進んだドル円の上昇とその後の失速と反落を受け、市場参加者のドル円に対する見方が慎重化している可能性が高く、不測のドル安円高の加速に要注意だ。
その際の下値目処として、昨年 6 月以降のレンジの半値押し(50%戻し)である 108.84 や 6/14 安値 108.81、8/11 安値 108.72 などが意識されそうだ。また、こうした水準を下抜けすれば、4/17 安値108.13 も一気に視界に飛び込んでくると見込まれる。
トランプ米政権の混乱が深まる中、米株式市場が軟調に推移すればリスク回避が広がり、円やスイスフランなど逃避先通貨の買いが進みそうだ。また、北朝鮮情勢への懸念が拭えず、地政学リスクも円への逃避買いを招きやすい。
米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれるシンポジウムでは、米連邦準備理事会のイエレン議長が日本時間25日午後11時に講演する予定。
欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は金融政策に関する新たなメッセージを打ち出さない見込み。ECBは17日、前月7月20日の理事会の議事要旨を公開、ユーロの過度の上昇に対する懸念が理事会で浮上したことが判明した。
しかし、足元のドル安円高地合いに変化は無く、VIX指数は再上昇を伺わせている。その理由は3つ。
①8/21からの米韓合軍事演習を控え、地政学リスクが温存されたままであり、②8/12バージニア州シャーロッツビルで発生した白人至上主義団体と反対派の衝突を巡ってのトランプ大統領対応に共和党有力者、元大統領、軍部首脳、次期FRB議長候補者らが失望や不快を示し、③労働市場改善が顕著であるものの不安定なトランプ政権や目標を下回るインフレ率の低迷を認識しているイエレンFRB議長が8/24-26「ジャクソンホール会合(カンザスシティ連銀主催)」で矜持である筈の金融引き締め姿勢を後退させる可能性があるためだ。
②に関してはトランプ選挙公約「米国人第一の雇用・米国第一主義」を実現するための2つの助言諮問機関で委員辞任が相次ぎ、解散に追い込まれてしまった。
8/21週のドル円上値焦点は8/17高値110.39、8/7高値110.935、8/2-4高値111.00-06、7/28高値111.345。日足一目均衡表雲下限111.645の抵抗留意。
下値焦点は8/14安値109.10、8/11安値108.71、週足雲下限108.438、4/17-19安値圏108.12-31-37。昨年11/15安値107.76を最大リスクとして推考。
かろうじてですが、雲の下限で止まっていますが、ここからの動きがどうなるかに注目したいところです。
この週が正念場となるでしょう。
地合いは最低、テクニカル的にも以前のトレンドラインを下抜け、さらにそれが今度はレジスタンスに変わってしまっているところをみると、上昇していくにはかなりの材料がなければ無理そうです。
雲を下抜けして週が終わった場合には 108 円が目処となり、それを抜けてしまうといよいよトランプラリーの終焉が見えてきます。通貨だけではなく、株も一旦は調整局面を迎えるのではないでしょうか。
予想 : 108.00 - 110.20
経済指標一覧(日本時間)
08/21(月)
- 重要な経済指標の発表なし
08/22(火)
- 18:00(欧) 8月 ZEW 景況感調査
- 21:30(加) 6月 小売売上高
- 23:00(米) 8月 リッチモンド連銀製造業指数
08/23(水)
- 23:00(米) 7月 新築住宅販売件数 ☆☆
08/24(木)
- 17:30(英) 4-6月期 四半期国内総生産(GDP、改定値)☆☆
- 21:30(米) 前週分新規失業保険申請件数
- 23:00(米) 7月 中古住宅販売件数
08/25(金)
- 08:30(日) 7月 全国消費者物価指数(CPI)☆☆
- 15:00(独) 4-6月期 国内総生産(GDP)☆☆
- 23:00(米) イエレン FRB 議長 発言 ☆☆
- 28:00(欧) ドラギ ECB 総裁 発言 ☆☆
ドル円予想レンジ
三菱東京UFJ銀行
FX Weekly
予想レンジ:107.75 - 110.75
リスクは依然として下方向
来週を展望すると、朝鮮半島情勢は一時の緊張こそ和らいだが、抜本的な解決が見込める状況ではない。この為、投資家心理がある程度、圧迫された状況は続く公算が大きく、これがドル円の上値を抑えよう。特に、予想を上回った雇用統計後の高値(111.05)や今週の値動きから 111 円付近が当面の上値目処として意識されそうだ。
一方、来週はジャクソンホールでの経済シンポジウムにて、イエレン議長やドラギECB総裁の発言機会を控え、それまでの間、様子見姿勢が強まり、ドル円も大きくは動きにくいだろう。とは言え、6/27 のドラギ総裁発言を号砲として進んだドル円の上昇とその後の失速と反落を受け、市場参加者のドル円に対する見方が慎重化している可能性が高く、不測のドル安円高の加速に要注意だ。
その際の下値目処として、昨年 6 月以降のレンジの半値押し(50%戻し)である 108.84 や 6/14 安値 108.81、8/11 安値 108.72 などが意識されそうだ。また、こうした水準を下抜けすれば、4/17 安値108.13 も一気に視界に飛び込んでくると見込まれる。
ロイター
来週の外為市場
予想レンジ:108.00 - 110.50
来週は米政権の混乱と北朝鮮リスクで一段のドル安も
来週の外為市場でドル/円は、下値リスクが意識されている。トランプ米政権の混乱が深まる中、米株式市場が軟調に推移すればリスク回避が広がり、円やスイスフランなど逃避先通貨の買いが進みそうだ。また、北朝鮮情勢への懸念が拭えず、地政学リスクも円への逃避買いを招きやすい。
米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれるシンポジウムでは、米連邦準備理事会のイエレン議長が日本時間25日午後11時に講演する予定。
欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は金融政策に関する新たなメッセージを打ち出さない見込み。ECBは17日、前月7月20日の理事会の議事要旨を公開、ユーロの過度の上昇に対する懸念が理事会で浮上したことが判明した。
岡三オンライン証券
武部力也の週間為替相場見通し
予想レンジ:107.80 - 111.00
34%支持率」は晩夏のドル高期待を抑制か
「NorthKoreaBacksOff(北朝鮮、引っ込む)」-。これは8/14に海外メディアが報じた見出しだ。8/8にトランプ米大統領が北朝鮮に対し「炎と怒りに直面」と警告。対して北朝鮮の金正恩委員長は米領グアム沖への弾道ミサイル発射計画を発表。しかし、足元のドル安円高地合いに変化は無く、VIX指数は再上昇を伺わせている。その理由は3つ。
①8/21からの米韓合軍事演習を控え、地政学リスクが温存されたままであり、②8/12バージニア州シャーロッツビルで発生した白人至上主義団体と反対派の衝突を巡ってのトランプ大統領対応に共和党有力者、元大統領、軍部首脳、次期FRB議長候補者らが失望や不快を示し、③労働市場改善が顕著であるものの不安定なトランプ政権や目標を下回るインフレ率の低迷を認識しているイエレンFRB議長が8/24-26「ジャクソンホール会合(カンザスシティ連銀主催)」で矜持である筈の金融引き締め姿勢を後退させる可能性があるためだ。
②に関してはトランプ選挙公約「米国人第一の雇用・米国第一主義」を実現するための2つの助言諮問機関で委員辞任が相次ぎ、解散に追い込まれてしまった。
8/21週のドル円上値焦点は8/17高値110.39、8/7高値110.935、8/2-4高値111.00-06、7/28高値111.345。日足一目均衡表雲下限111.645の抵抗留意。
下値焦点は8/14安値109.10、8/11安値108.71、週足雲下限108.438、4/17-19安値圏108.12-31-37。昨年11/15安値107.76を最大リスクとして推考。
私見
北朝鮮の地政学的リスクがやや後退したものの、トランプ政権への不信感からドルが売られています。かろうじてですが、雲の下限で止まっていますが、ここからの動きがどうなるかに注目したいところです。
この週が正念場となるでしょう。
地合いは最低、テクニカル的にも以前のトレンドラインを下抜け、さらにそれが今度はレジスタンスに変わってしまっているところをみると、上昇していくにはかなりの材料がなければ無理そうです。
雲を下抜けして週が終わった場合には 108 円が目処となり、それを抜けてしまうといよいよトランプラリーの終焉が見えてきます。通貨だけではなく、株も一旦は調整局面を迎えるのではないでしょうか。
予想 : 108.00 - 110.20