2017 年 5 月 第三週(5月15日から19日)の、ドル円相場の予想と経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2017 年 5 月 第三週(5月15日から19日)の、ドル円相場の予想と経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
日本時間の早朝に米商品先物協会(CFTC)から発表になっていたIMM通貨先物の建玉で、とうとうユーロが買い越しに転じている。一旦、売り買いどちらかに転じると、しばらく続く傾向にはある。仏大統領選が無事に通過したこともあるであろうが、ここに来てECBの出口戦略への期待が高まっている。
来週だが、来週は日本のGDPや英インフレ統計などがあるが、米経済指標自体は少ない。やはり上記にも示した通り、FOMCメンバーの発言が注目される。恐らく年内あと2回の利上げとバランスシート縮小開始というメインシナリオに変更はないものと考えるが、注意深く見る必要はありそうだ。
ドル円の中期トレンドは中立から上に変化している。中期のみならず、長期のトレンドの上向きの兆候を示唆し始めている。テクニカル的にも簡単には見切売りが強まる局面ではなさそうだが、来週は中立のスタンスを想定したい。
目先で試金石とされるのが、12日発表の小売売上高や消費者物価指数(CPI)。これら指標が強い結果なら、ほぼ織り込まれた米6月利上げ後の着実な利上げペースへの思惑が高まりやすくドル/円が支援されそうな一方、「失望が広がれば、いったん調整が強まりかねない」(国内金融機関)と見られている。
もっとも、ドル/円は114円台ではまとまった利益確定・戻り待ち売りの需要が観測され、頭が押さえられやすいとみられている。上昇基調が強まったとしても「115円にタッチできれば御の字ではないか」(同)との声が出ている。
リスク要因もくすぶる。高値にある米株価が軟調な動きとなっており、警戒感は根強い。トランプ米大統領による連邦捜査局(FBI)長官の電撃解任の余波や、北朝鮮をめぐる地政学リスクへの警戒感もくすぶる。今週末の先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では、米国サイドからのドル高けん制発言も警戒される。
一方、ユーロは、ドルの強さが継続すれば、下方圧力がかかりやすいと見られている。ユーロは仏大統領選後に窓を開けて上昇した経緯があり「この窓を埋めにいく機運が高まらないか注意」(別の国内金融機関)との声もある。
6/14のFOMCでは昨年12月、そして3月に続き、利上げ是非を巡る議論が予想される。シカゴFEDウオッチでの利上げ確率は83.1%(5/12時点)だ。では、利上げ期待を以て一本調子でドル高は進むのか。
仮に6月利上げ、となっても「その先に何があるのか」、とした懸念、米議会運営の難度や米通商代表部による対日強硬姿勢も想起すると、強気なドル買い円売りも躊躇せざるを得ないのではないか。
4月の対外対内証券投資データでは外国人投資家による日本株式投資は4カ月ぶりに買い越し、国内投資家による海外株式投資は2カ月ぶりに買いが上回った。外国人投資家からは日本株投資に伴うヘッジの円売り、国内投資家からは外貨転・円投の需給に繋がった筈だ。国内輸出企業群の為替予約が夏季以降へと峠を越している中では5/15週も前出の株式動向に伴う円需給が注視されそうだ。
上値焦点は5/9、10、11高値圏114.33-38、3/15高値114.90。期待値は3/10、14高値圏115.20-52。但し115円台到達には米10年債金利が2.5%意識の展開が不可欠とも推考。下値焦点は5/11安値113.44、5/9安値113.12。割れた場合は日足一目均衡表雲上限112.80-00を意識。4/17安値108.12から5/11高値114.38上昇後の38.2%戻し111.98留意。
但し、来週は市場の緊張緩和が一服したり、やや緊張が高まる材料が目立つ。また、米雇用統計が良好であったとは言え、既に 6 月の利上げ織り込み度合いは高いため、ドル買いの勢いも次第に和らごう。この為、来週のドル円は大崩れはしないまでも続伸余地より、下値リスクに警戒を要そう。
また、原油先物相場(以下、原油価格)が総じて軟調に推移しており、WTIでみて 40 ドル台後半での推移が続いている。こうした水準での推移が続く場合、前年比でみた原油価格は、マイナス圏に落ち込む見込みだ。
原油価格の下落は、以下 3 つの経路を通じて、ドル円への下押し材料となりやすく、要注意だ。まず、①軟調な原油価格の動向は、米エネルギーセクター株への下押しとなって、株式相場全体の足を引っ張るなど、市場の緊張を高めやすい。次に、②前年比でみた原油価格の伸び鈍化は、世界的な物価動向にも影響を及ぼす。現在、ドル、ユーロ、円の中で、金融政策の転換が見込まれ、相対的に選好されているのは、ドルとユーロとなっている。この為、軟調な原油価格を受け、物価上昇期待が和らぐ場合、ここまでのドル買い、ユーロ買いに対する戻り売りが強まり、相対的に円を押し上げよう。さらに、③原油価格が下落すると、日本の期待インフレ率が相対的にみてアメリカやドイツよりも下がる傾向がある。
来週の米国の株式相場は、決算発表のピークを越えたことによる材料出尽くし感に加え、先に指摘した原油価格の動向や地政学的リスクなどから、利益確定に下押しされる可能性が高いだろう。その際、VIX指数も小幅ながら上昇すると見込まれ、円安圧力も和らごう。
週足では 4 連続陽線となったものの、115 円はやはり重かったようです。
来週は特に重要なイベントはありませんが、6 月利上げに向けたムードがどこまで高まるのか、もしくは一旦はさらに押しが入るのかに注目です。
株に関しては、日経平均も 2 万円目前でなかなか到達できないもどかしさがありましたが、ダウが 2 万ドルに迫った時と近い動きをしています。
逆張りの売りもだいぶ溜まってきたようですが、それらを養分に 2 万円をオーバーシュートさせてくる場合、ドル円も 115 円をさらに越えて上昇する余地はあるようにも思います。
もちろん、地政学リスクの高まりやトランプリスクにより、結局「日経 2 万円は遠かった」という場合もありえます。
イベントがない中、狭い動きに終始する週となるのか、新たなる展開の始まりとなるのかを見極める週となるのではないでしょうか。
予想 : 112.00 - 115.50
経済指標一覧(日本時間)
05/15(月)
- 07:45(NZ) 1-3月期 四半期小売売上高指数
- 11:00(中) 4月 小売売上高,鉱工業生産
- 21:30(米) 5月 ニューヨーク連銀製造業景気指数
- 23:00(米) 5月 NAHB 住宅市場指数
05/16(火)
- 10:30(豪) 豪準備銀行 金融政策会合議事要旨
- 17:30(英) 4月 消費者物価指数(CPI),小売物価指数(RPI)
- 18:00(欧) 1-3月期 四半期域内総生産(GDP)
- 21:30(米) 4月 住宅着工件数,建設許可件数
- 22:15(米) 4月 鉱工業生産
05/17(水)
- 17:30(英) 4月 失業保険申請件数,失業率
- 18:00(欧) 4月 消費者物価指数(HICP)
05/18(木)
- 08:50(日) 1-3月期 四半期実質国内総生産(GDP)
- 10:30(豪) 4月 新規雇用者数,失業率
- 21:30(米) 5月 フィラデルフィア連銀製造業景気指数
05/19(金)
- 21:30(加) 3月 小売売上高,消費者物価指数(CPI)
今週のドル円予想レンジ予想
KlugFX
FOMCメンバーの発言に注目したい局面か
112.00 - 115.00
とれんど捕物帳 (2017/05/13)今週のドル円も買い戻しが続き、114円台まで上昇している。週足は4週連続で陽線を示現してたが、さすがに週後半には調整も見られ。114円台は維持できなかった。特に金曜日の米小売売上高と消費者物価(CPI)の反応は調整色の強まりを感じさせる。
日本時間の早朝に米商品先物協会(CFTC)から発表になっていたIMM通貨先物の建玉で、とうとうユーロが買い越しに転じている。一旦、売り買いどちらかに転じると、しばらく続く傾向にはある。仏大統領選が無事に通過したこともあるであろうが、ここに来てECBの出口戦略への期待が高まっている。
来週だが、来週は日本のGDPや英インフレ統計などがあるが、米経済指標自体は少ない。やはり上記にも示した通り、FOMCメンバーの発言が注目される。恐らく年内あと2回の利上げとバランスシート縮小開始というメインシナリオに変更はないものと考えるが、注意深く見る必要はありそうだ。
ドル円の中期トレンドは中立から上に変化している。中期のみならず、長期のトレンドの上向きの兆候を示唆し始めている。テクニカル的にも簡単には見切売りが強まる局面ではなさそうだが、来週は中立のスタンスを想定したい。
ロイター
来週はドル/円に底堅さ、米利上げ思惑の持続力に関心
112.50 - 115.00
来週の外為市場(2017/05/12)来週の外為市場でドル/円は、底堅い動きが見込まれる。背景にあるのは、米国の着実な利上げへの思惑。来週はトレンドを形成するような重要指標の発表予定がないため、今週末発表の米指標で、地合いの持続力を見極める展開になりそうだ。
目先で試金石とされるのが、12日発表の小売売上高や消費者物価指数(CPI)。これら指標が強い結果なら、ほぼ織り込まれた米6月利上げ後の着実な利上げペースへの思惑が高まりやすくドル/円が支援されそうな一方、「失望が広がれば、いったん調整が強まりかねない」(国内金融機関)と見られている。
もっとも、ドル/円は114円台ではまとまった利益確定・戻り待ち売りの需要が観測され、頭が押さえられやすいとみられている。上昇基調が強まったとしても「115円にタッチできれば御の字ではないか」(同)との声が出ている。
リスク要因もくすぶる。高値にある米株価が軟調な動きとなっており、警戒感は根強い。トランプ米大統領による連邦捜査局(FBI)長官の電撃解任の余波や、北朝鮮をめぐる地政学リスクへの警戒感もくすぶる。今週末の先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では、米国サイドからのドル高けん制発言も警戒される。
一方、ユーロは、ドルの強さが継続すれば、下方圧力がかかりやすいと見られている。ユーロは仏大統領選後に窓を開けて上昇した経緯があり「この窓を埋めにいく機運が高まらないか注意」(別の国内金融機関)との声もある。
岡三オンライン証券
6月米利上げ後のドルを読み始める展開
112.00 - 115.20
武部力也の週間為替相場見通し(2017/05/12)FRBは、米第1四半期GDP速報値は前期比から減速し、3年ぶりの低い伸びで判明しているが、こうしたデータはあくまでも一時的なもので基調的な拡大傾向は変わらない、との見通しを示した。
6/14のFOMCでは昨年12月、そして3月に続き、利上げ是非を巡る議論が予想される。シカゴFEDウオッチでの利上げ確率は83.1%(5/12時点)だ。では、利上げ期待を以て一本調子でドル高は進むのか。
仮に6月利上げ、となっても「その先に何があるのか」、とした懸念、米議会運営の難度や米通商代表部による対日強硬姿勢も想起すると、強気なドル買い円売りも躊躇せざるを得ないのではないか。
4月の対外対内証券投資データでは外国人投資家による日本株式投資は4カ月ぶりに買い越し、国内投資家による海外株式投資は2カ月ぶりに買いが上回った。外国人投資家からは日本株投資に伴うヘッジの円売り、国内投資家からは外貨転・円投の需給に繋がった筈だ。国内輸出企業群の為替予約が夏季以降へと峠を越している中では5/15週も前出の株式動向に伴う円需給が注視されそうだ。
上値焦点は5/9、10、11高値圏114.33-38、3/15高値114.90。期待値は3/10、14高値圏115.20-52。但し115円台到達には米10年債金利が2.5%意識の展開が不可欠とも推考。下値焦点は5/11安値113.44、5/9安値113.12。割れた場合は日足一目均衡表雲上限112.80-00を意識。4/17安値108.12から5/11高値114.38上昇後の38.2%戻し111.98留意。
三菱東京UFJ銀行
緊張緩和一服で小反落見込む
112.00 - 115.00
FX Weekly(2017/05/12)ドル円相場の週足は、本日 12 日のNY時間 17 時のドル円相場が113 円以上で越週となれば、4 週続けての上昇となる。
但し、来週は市場の緊張緩和が一服したり、やや緊張が高まる材料が目立つ。また、米雇用統計が良好であったとは言え、既に 6 月の利上げ織り込み度合いは高いため、ドル買いの勢いも次第に和らごう。この為、来週のドル円は大崩れはしないまでも続伸余地より、下値リスクに警戒を要そう。
また、原油先物相場(以下、原油価格)が総じて軟調に推移しており、WTIでみて 40 ドル台後半での推移が続いている。こうした水準での推移が続く場合、前年比でみた原油価格は、マイナス圏に落ち込む見込みだ。
原油価格の下落は、以下 3 つの経路を通じて、ドル円への下押し材料となりやすく、要注意だ。まず、①軟調な原油価格の動向は、米エネルギーセクター株への下押しとなって、株式相場全体の足を引っ張るなど、市場の緊張を高めやすい。次に、②前年比でみた原油価格の伸び鈍化は、世界的な物価動向にも影響を及ぼす。現在、ドル、ユーロ、円の中で、金融政策の転換が見込まれ、相対的に選好されているのは、ドルとユーロとなっている。この為、軟調な原油価格を受け、物価上昇期待が和らぐ場合、ここまでのドル買い、ユーロ買いに対する戻り売りが強まり、相対的に円を押し上げよう。さらに、③原油価格が下落すると、日本の期待インフレ率が相対的にみてアメリカやドイツよりも下がる傾向がある。
来週の米国の株式相場は、決算発表のピークを越えたことによる材料出尽くし感に加え、先に指摘した原油価格の動向や地政学的リスクなどから、利益確定に下押しされる可能性が高いだろう。その際、VIX指数も小幅ながら上昇すると見込まれ、円安圧力も和らごう。
私見
金曜日の小売売上高により、ドル円は若干の調整を持って越週しました。週足では 4 連続陽線となったものの、115 円はやはり重かったようです。
来週は特に重要なイベントはありませんが、6 月利上げに向けたムードがどこまで高まるのか、もしくは一旦はさらに押しが入るのかに注目です。
株に関しては、日経平均も 2 万円目前でなかなか到達できないもどかしさがありましたが、ダウが 2 万ドルに迫った時と近い動きをしています。
逆張りの売りもだいぶ溜まってきたようですが、それらを養分に 2 万円をオーバーシュートさせてくる場合、ドル円も 115 円をさらに越えて上昇する余地はあるようにも思います。
もちろん、地政学リスクの高まりやトランプリスクにより、結局「日経 2 万円は遠かった」という場合もありえます。
イベントがない中、狭い動きに終始する週となるのか、新たなる展開の始まりとなるのかを見極める週となるのではないでしょうか。
予想 : 112.00 - 115.50