2017 年 1 月 第三週(1月16日から20日)の、ドル円相場の予想と、経済指標のまとめからマーケットの見通しを考察します。
2017 年 1 月 第三週(1月16日から20日)の、ドル円相場の予想と、経済指標のまとめからマーケットの見通しを考察します。
その他経済イベントでは世界経済フォーラム(ダボス会議)、ECB(欧州中央銀行理事会)理事会にも注意を払いたい。ECBでは金融政策が維持される見通しだが、足元のインフレ率上昇に対するECBの見解は重要だ。
ドル・円の上昇にはやや息切れ感が出ており、よほどの材料が出ない限り直近16年12月に付けた高値1ドル=118円60銭近辺を上回るのは難しそう。下値は13週線近辺の1ドル=112円ちょうどまでの下押しは想定しておきたい。
「就任演説で減税など財政出動に言及すればトランプラリーが継続するとの見方もあるが、期待でこれまで過剰に走ってきた分、期待剥落のリスクもある」とトウキョウフォレックス上田ハーロー営業推進室・室長代理、阪井勇蔵氏は慎重な見方を示す。
引き続き、経済指標や発表が本格化する米企業実績、3月の利上げ確率もポイントだ。
「足元2.3%台の米10年国債利回りが、3月利上げを織り込みながら2.5%を超えていくなら、ドルは120円試しがあってもおかしくない」とHSBC為替資金営業部長の花生浩介氏は言う。
20日には米新大統領就任式。17日から4日間の日程で世界経済フォーラム年次総会がダボスで開催され、中国の習国家主席が出席する予定。18日にはイエレンFRB議長の講演が予定され、19日には欧州中央銀行(ECB)理事会がある。
「The first hundred days(最初の100日間)」として、米大統領就任後、最初の100日間はマスメディアは政権政策批判を控える慣例がある。しかしながら、市場にそうした配慮は無いだろう。
2009/1/20のオバマ新大統領就任同日のNYダウは大幅安、ドルは急落した。理由は当時のテーマが米金融機関の不良債権問題だったが、就任演説で具体的解決に向けて踏み込んだ発言がなく失望を招いたからだ。
2017/1/20の米大統領就任演説では、トランプ氏が選挙中に発表した政策「100日行動計画」(中国を為替操作国に認定する等)や「米国第一主義」を鮮明に打ち出せば“飛び火の円買い”に発展する可能性を孕んでいる。
無論、「本国投資法」「国境税」など議会共和党と合意できそうな付加価値税を押し出せばドルブル派は勇躍しそうだ。
1/16週のドル円は、週末の歴史的な米政権レジームチェンジを控えて慎重な動きを予想している。ドル円上値焦点は1/11高値116.88、1/9高値117.545。超えれば節目の118円視野。下値焦点は月足ボリンジャーバンド中心線114.10、1/12安値113.74、12/8安値113.115、12/5安値112.845を意識。維持に失敗すると11/9安値101.18から118.68高値迄の“トランプラリー”終焉としてフィボナッチ38.2%押し111.995を最大リスクとして推考。
その他、記者会見で気掛かりな点は、やはりトランプ氏の保護主義志向の強さであろう。トランプ氏は、記者会見の中で、貿易赤字に不満を示し、その中で中国、メキシコと並び、日本を名指しした。
貿易赤字額の規模で言うなら、ドイツは日本と同等である上、ユーロ圏全体でみれば、日本のはるかに上回る。加えて、中央銀行である欧州中央銀行(ECB)がマイナス金利政策など果敢な金融緩和政策を推進し、通貨安政策を推し進めてきたと映っている点も日本との共通項だ。
こうしてみると、個別に名指しされた国や地域の中に、ドイツやユーロ圏が含まれていない点は不可解であると同時に、今後とも同氏が保護主義色を前面に打ち出す場面で、その矛先が日本や円相場に及ぶ可能生が高いとみておくべきだろう。
国際通貨基金(IMF)によれば、2016 年末時点での購買力平価は、102 円台となっている。この水準の妥当性について、賛否両論あろうが、米財務省が各国・地域の通貨の割高、割安を判断する一つの材料としてこの購買力平価を参考にしている点にも留意が必要だ。
米国のVIX指数(別名、恐怖指数)は依然として低位にとどまっているものの、新興国通貨の下げ幅が年初来拡大している。原油先物相場もWTI先物相場でみて 50 ドル台半ばでは、上値の重さが目立ってきた。
人民元相場の乱高下と合わせ、リスク回避のセンチメントが強まる材料は少なくない状況だ。しばらくドル円の下値は堅いと見込まれるが、ドルのロングポジション(買い越し幅)、円のショートポジション(売り越し幅)の規模感に照らせば、ドル円の上値も重いだろう。
そして、113 円を付けたことで、個人投資家にも「戻ってきたら売る」という地合いができつつあるように見えました。
20 日のトランプ大統領就任には特に注意が必要となりますが、11 日の会見後の下攻めでも 最大リスクである 112 円には到達せず。23.6% までの押しで辛うじて越週しています。チャート自体はあまりよくないですが、いずれにせよ 20 日次第でしょうね。
大統領演説をマーケットがどう捉えるかを見てから入ってもいいのではないでしょうか。
予想 : 113.30 - 117.00
経済指標一覧(日本時間)
01/16(月)米国市場休場(キング牧師誕生日)
- 08:50 (日) 11 月 機械受注
01/17(火)
- 18:30 (英) 12 月 消費者物価指数(CPI),小売物価指数(RPI)
- 22:30 (米) 1 月 ニューヨーク連銀製造業景気指数
01/18(水)
- 19:00 (欧) 12 月 消費者物価指数(HICP)
- 22:30 (米) 12 月 消費者物価指数(CPI)
- 28:00:04:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
- 29:00:05:00 (米) イエレン FRB 議長・発言
01/19(木)
- 21:30 (欧) 欧州中央銀行(ECB)政策金利 ★★★
- 22:30 (欧) ドラギ ECB 総裁、定例記者会見 ★★
- 22:30 (米) 住宅着工件数,建設許可件数
- 22:30 (米) 前週分 新規失業保険申請件数
01/20(金)
- 10:00(米) イエレン FRB 議長 発言 ★★
- 10:00(中) 10-12 月期 四半期国内総生産(GDP) ★★
- 10:00(中) 12 月 鉱工業生産,小売売上高 ★★
- 18:30(英) 12 月 小売売上高
今週のドル円予想レンジ予想
モーニングスター
トランプ就任演説に世界が注目
112.00 - 118.60
来週の東京外国為替市場見通し (2017/01/13 18:00)20日の第45代米大統領就任式で、トランプ次期大統領が行う就任演説に世界の注目が集まる。11日の記者会見では、具体的な経済政策への言及がなかったほか、保護主義が前面に押し出され、市場には失望感が広がった。
その他経済イベントでは世界経済フォーラム(ダボス会議)、ECB(欧州中央銀行理事会)理事会にも注意を払いたい。ECBでは金融政策が維持される見通しだが、足元のインフレ率上昇に対するECBの見解は重要だ。
ドル・円の上昇にはやや息切れ感が出ており、よほどの材料が出ない限り直近16年12月に付けた高値1ドル=118円60銭近辺を上回るのは難しそう。下値は13週線近辺の1ドル=112円ちょうどまでの下押しは想定しておきたい。
ロイター
来週のドル/円は気迷い、次期米大統領の就任会見見極め
112.00 - 117.00
来週の外為市場 (2017/01/13 15:14)来週の外為市場でドル/円は、トランプ次期米大統領の就任演説での政策スタンスをにらみながら、トランプラリーの持続可能性を探る展開となりそうだ。市場参加者のドルロングは圧縮されたものの依然相当水準を維持する中、演説が米長期金利や株価に及ぼす影響も注視される。
「就任演説で減税など財政出動に言及すればトランプラリーが継続するとの見方もあるが、期待でこれまで過剰に走ってきた分、期待剥落のリスクもある」とトウキョウフォレックス上田ハーロー営業推進室・室長代理、阪井勇蔵氏は慎重な見方を示す。
引き続き、経済指標や発表が本格化する米企業実績、3月の利上げ確率もポイントだ。
「足元2.3%台の米10年国債利回りが、3月利上げを織り込みながら2.5%を超えていくなら、ドルは120円試しがあってもおかしくない」とHSBC為替資金営業部長の花生浩介氏は言う。
20日には米新大統領就任式。17日から4日間の日程で世界経済フォーラム年次総会がダボスで開催され、中国の習国家主席が出席する予定。18日にはイエレンFRB議長の講演が予定され、19日には欧州中央銀行(ECB)理事会がある。
岡三オンライン証券
第45代米大統領就任式を睨んだ展開
113.00 - 117.50
武部力也の週間為替相場見通し(2017/01/13)トランプ会見では財政出動や減税など具体的内容は飛び出さなかった。しかし「アメリカは、中国、日本、メキシコなどとの貿易で多額の損失を被っている」と述べ、日本も含めた貿易の不均衡を是正し、アメリカの利益を最優先に確保していく姿勢を強調した。
「The first hundred days(最初の100日間)」として、米大統領就任後、最初の100日間はマスメディアは政権政策批判を控える慣例がある。しかしながら、市場にそうした配慮は無いだろう。
2009/1/20のオバマ新大統領就任同日のNYダウは大幅安、ドルは急落した。理由は当時のテーマが米金融機関の不良債権問題だったが、就任演説で具体的解決に向けて踏み込んだ発言がなく失望を招いたからだ。
2017/1/20の米大統領就任演説では、トランプ氏が選挙中に発表した政策「100日行動計画」(中国を為替操作国に認定する等)や「米国第一主義」を鮮明に打ち出せば“飛び火の円買い”に発展する可能性を孕んでいる。
無論、「本国投資法」「国境税」など議会共和党と合意できそうな付加価値税を押し出せばドルブル派は勇躍しそうだ。
1/16週のドル円は、週末の歴史的な米政権レジームチェンジを控えて慎重な動きを予想している。ドル円上値焦点は1/11高値116.88、1/9高値117.545。超えれば節目の118円視野。下値焦点は月足ボリンジャーバンド中心線114.10、1/12安値113.74、12/8安値113.115、12/5安値112.845を意識。維持に失敗すると11/9安値101.18から118.68高値迄の“トランプラリー”終焉としてフィボナッチ38.2%押し111.995を最大リスクとして推考。
三菱東京UFJ銀行
期待剥落の決定打不足も上値は重い
113.50 - 116.50
FX Weekly(2017/01/13)来週もドル円の上値は重いながら、上昇ペースが速かったこともあり、114 円台では値頃感によるドル買い需要に下支えされそうだ。
その他、記者会見で気掛かりな点は、やはりトランプ氏の保護主義志向の強さであろう。トランプ氏は、記者会見の中で、貿易赤字に不満を示し、その中で中国、メキシコと並び、日本を名指しした。
貿易赤字額の規模で言うなら、ドイツは日本と同等である上、ユーロ圏全体でみれば、日本のはるかに上回る。加えて、中央銀行である欧州中央銀行(ECB)がマイナス金利政策など果敢な金融緩和政策を推進し、通貨安政策を推し進めてきたと映っている点も日本との共通項だ。
こうしてみると、個別に名指しされた国や地域の中に、ドイツやユーロ圏が含まれていない点は不可解であると同時に、今後とも同氏が保護主義色を前面に打ち出す場面で、その矛先が日本や円相場に及ぶ可能生が高いとみておくべきだろう。
国際通貨基金(IMF)によれば、2016 年末時点での購買力平価は、102 円台となっている。この水準の妥当性について、賛否両論あろうが、米財務省が各国・地域の通貨の割高、割安を判断する一つの材料としてこの購買力平価を参考にしている点にも留意が必要だ。
米国のVIX指数(別名、恐怖指数)は依然として低位にとどまっているものの、新興国通貨の下げ幅が年初来拡大している。原油先物相場もWTI先物相場でみて 50 ドル台半ばでは、上値の重さが目立ってきた。
人民元相場の乱高下と合わせ、リスク回避のセンチメントが強まる材料は少なくない状況だ。しばらくドル円の下値は堅いと見込まれるが、ドルのロングポジション(買い越し幅)、円のショートポジション(売り越し幅)の規模感に照らせば、ドル円の上値も重いだろう。
私見
トランプ会見では材料が見当たらないことで大きく下落とされていますが、実際にはそれを口実として投機筋やヘッジファンドの確定売りに押されたのではないでしょうか。そして、113 円を付けたことで、個人投資家にも「戻ってきたら売る」という地合いができつつあるように見えました。
20 日のトランプ大統領就任には特に注意が必要となりますが、11 日の会見後の下攻めでも 最大リスクである 112 円には到達せず。23.6% までの押しで辛うじて越週しています。チャート自体はあまりよくないですが、いずれにせよ 20 日次第でしょうね。
大統領演説をマーケットがどう捉えるかを見てから入ってもいいのではないでしょうか。
予想 : 113.30 - 117.00