6月6日から10日までの、ドル円相場に影響しそうな経済指標のまとめと私的な考察です。
6月6日から10日までの、ドル円相場に影響しそうな経済指標のまとめと私的な考察です。
米5月雇用統計が強い結果となれば、ドル・円は買いで反応しそうだが、14-15日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での追加利上げを市場が決定づけるか否かはイエレン議長の講演内容次第だろう。
同議長は5月27日の講演でタカ派的な見解を示し、市場も早期利上げを織り込んでいるが、英国のEU(欧州連合)離脱の是非を問う国民投票を23日に控え、リスク資産のボラティリティ(変動率)が高まる恐れもあることから、6月利上げ見送りを示唆する可能性も残る。
ドル・円は米利上げ観測の強まりや日本の消費税率引き上げ延長報道などを材料に一時1ドル=111円半ばまで上昇したが、足元では円買い優勢の展開となっている。下値めどは5月12日安値近辺の108円20銭、上値は5月30日高値近辺の111円50銭。
雇用統計が予想を下回ればドル売りで反応しそうだが、よほど悪い内容とならない限りは利上げ期待が維持され、大幅な下落は回避するとの見方が多い。
イエレン議長は5月27日のハーバード大学での講演で、経済成長と雇用創出が続けば、今後数カ月内に利上げすべきとの認識を示した。雇用統計の内容を受け、改めて市場にどのようなメッセージを発信するのか注目されている。
「英国がEU離脱となって市場が混乱した場合、米国は6月利上げを見送るべきだったと叩かれる可能性がある。石橋を叩いて渡るつもりであれば、雇用統計がどんなに良くても7月という可能性もある」(外為アナリスト)との声が出ている。
3日発表された米5月非農業部門雇用者数は前月比+3.8万人にとどまり、2010年9月以来の低い伸びとなったことから、リスク回避的なドル売り・円買いが急速に広がった。
米早期追加利上げ観測は大幅に後退し、ドルは3日のニューヨーク市場で一時106円51銭まで下落。約1カ月ぶりの円高・ドル安水準となった。
6月14-15日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げが決定される可能性はほぼ消滅した。5月米雇用統計の悪化を受けて市場関係者の関心は年内追加利上げの有無に向けられており、米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長などの金融当局者の発言内容が材料視されそうだ。
イエレン議長が追加利上げに前向きな見解を表明した場合、ドルを買い戻す動きが広がりそうだが、早期追加利上げの必要性について言及しなかった場合、ドルの上値はやや重くなる可能性がある。
なお、2日に開かれた石油輸出国機構(OPEC)総会では、任意の生産を事実上容認する方針を維持することが決まった。新たな生産上限は設定されていないことから、供給増への懸念が再び強まり原油先物が軟調に推移した場合、リスク回避的な円買い・ドル売りが増える可能性があるので注意したい。
5/27に米複数報道が米景気回復に伴ってイエレンFRB議長が利上げ時期を探っていると伝えた。
しかし6/2にタルーロFRB理事は英のEU離脱問題は米利上げ判断の要素とした見解を示した。ポイントは一点。6/23英国民投票を控え、過去、幾度となく慎重な政策運営をしてきたイエレン議長が6/15のFOMCで”今、利上げをせざるを得ない状況”、と考えるのだろうか、である。 (筆者は懐疑的だ。)
上値焦点は日足一目均衡表雲の帯(108.90-110.35)と6/1高値110.85。下値焦点は5/13-16安値圏108.47-50、5/10-11-12安値圏108.22-26-30維持。2012年11月(アベノミクス登場)の80円と高値125円台示現後に黒田日銀総裁が「実質実効為替レートが更に円安になるのはありそうにない(2015/06/10)」と発言してからの38.2%戻し(フィボナッチ)≒107.81、5/9安値107.18を留意している。
但し、その雇用統計では、失業率の低下ペースが鈍化。既に、量的な労働市場の改善余地は狭まりつつあるとみられ、それだけに今後の金融政策を占う上で、賃金上昇への波及度合いが注目されよう。
その点、平均時給の伸び(前年比)をみると、4 月分は 2.5%増と上昇傾向にある一方、金融危機以前の水準に相応の距離を残している。
単月の雇用統計だけで、6 月(或いはイギリスの国民投票を考慮した 7 月)の利上げが確定的になるとは考えにくい。また、おそらくイエレンFRB議長も来週の講演では、前回の講演同様、向こう数ヶ月以内の幅を持たせた利上げシグナルを発するにとどめ、より明確なタイミングまで示すことはない(或いは、イエレンFRB議長も決め切れていない)だろう。
この為、雇用統計結果が好調な場合も、来週のドル円の上昇余地はせいぜい今週の高値までにとどまろう。
少なくとも 6 月の利上げはなしですが、そもそも利上げできるのか? 米経済は大丈夫か? という疑心暗鬼で支配されたマーケットは、下値を模索する動きとなっていくと思われます。
ただし、利上げが先送りされ、ドルが下がるのは、新興国を含んだ世界的には悪いことではないため、世界的な危機はすこし遠のいたと見るべきかもしれません。
ドル円の自律的な反発としては、まずは 107.50 あたり。109 まで戻せば御の字というように見ています。ただし、この流れだと来週は荒れそうなので、静観するのも戦略です。
予想 : 105.50 - 109.00
経済指標
06/06(月)
- 23:00 (米) 5 月 労働市場情勢指数
- 25:30 (米) イエレン FRB 議長 発言 ★★
06/07(火)
- 18:00 (欧) 1-3 月期 四半期域内総生産(GDP、確定値)
- 28:00 (米) 4 月 消費者信用残高
06/08(水)
- 08:50 (日) 1-3月期 四半期実質国内総生産(GDP)★★
- 20:00 (米) MBA 住宅ローン申請指数(前週比)
06/09(木)
- 10:30(中) 5 月 消費者物価指数(CPI)
- 21:30(米) 前週分 新規失業保険申請件数
- 23:00(米) 4 月 卸売在庫
06/10(金)
- 23:00 (米) 6 月 ミシガン大学消費者態度指数・速報値
- 27:00 (米) 5 月 月次財政収支
予想レンジ
モーニングスター
108.20 - 111.50
来週の東京外国為替市場見通し (2016/06/03 08:40)目先の注目は、3日の米5月雇用統計と、6日のイエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長講演となる。
米5月雇用統計が強い結果となれば、ドル・円は買いで反応しそうだが、14-15日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での追加利上げを市場が決定づけるか否かはイエレン議長の講演内容次第だろう。
同議長は5月27日の講演でタカ派的な見解を示し、市場も早期利上げを織り込んでいるが、英国のEU(欧州連合)離脱の是非を問う国民投票を23日に控え、リスク資産のボラティリティ(変動率)が高まる恐れもあることから、6月利上げ見送りを示唆する可能性も残る。
ドル・円は米利上げ観測の強まりや日本の消費税率引き上げ延長報道などを材料に一時1ドル=111円半ばまで上昇したが、足元では円買い優勢の展開となっている。下値めどは5月12日安値近辺の108円20銭、上値は5月30日高値近辺の111円50銭。
ロイター
107.50 - 110.50
来週の外為市場 (2016/06/03 16:40)週明けの講演でイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長が利上げに前向きな姿勢を強めればドル買いとなりそうだが、英国の欧州連合(EU)離脱懸念でリスク回避の円買いが広がれば107円台まで下押しされる可能性もあるという。
雇用統計が予想を下回ればドル売りで反応しそうだが、よほど悪い内容とならない限りは利上げ期待が維持され、大幅な下落は回避するとの見方が多い。
イエレン議長は5月27日のハーバード大学での講演で、経済成長と雇用創出が続けば、今後数カ月内に利上げすべきとの認識を示した。雇用統計の内容を受け、改めて市場にどのようなメッセージを発信するのか注目されている。
「英国がEU離脱となって市場が混乱した場合、米国は6月利上げを見送るべきだったと叩かれる可能性がある。石橋を叩いて渡るつもりであれば、雇用統計がどんなに良くても7月という可能性もある」(外為アナリスト)との声が出ている。
フィスコ
105.50 - 109.00
為替週間見通し(2016/06/04 15:04)
3日発表された米5月非農業部門雇用者数は前月比+3.8万人にとどまり、2010年9月以来の低い伸びとなったことから、リスク回避的なドル売り・円買いが急速に広がった。
米早期追加利上げ観測は大幅に後退し、ドルは3日のニューヨーク市場で一時106円51銭まで下落。約1カ月ぶりの円高・ドル安水準となった。
6月14-15日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げが決定される可能性はほぼ消滅した。5月米雇用統計の悪化を受けて市場関係者の関心は年内追加利上げの有無に向けられており、米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長などの金融当局者の発言内容が材料視されそうだ。
イエレン議長が追加利上げに前向きな見解を表明した場合、ドルを買い戻す動きが広がりそうだが、早期追加利上げの必要性について言及しなかった場合、ドルの上値はやや重くなる可能性がある。
なお、2日に開かれた石油輸出国機構(OPEC)総会では、任意の生産を事実上容認する方針を維持することが決まった。新たな生産上限は設定されていないことから、供給増への懸念が再び強まり原油先物が軟調に推移した場合、リスク回避的な円買い・ドル売りが増える可能性があるので注意したい。
岡三オンライン証券
107.20 - 110.85
武部力也の週間為替相場見通し(2016/06/03)安倍首相は5/26-27のG7伊勢志摩サミットで世界経済減速懸念を示した。そこで、総合的且つ大胆な経済対策は今秋に講じるとし、6/2の政府閣議では骨太方針・一億総活躍プランを決定した。しかし、市場反応は鈍い。
5/27に米複数報道が米景気回復に伴ってイエレンFRB議長が利上げ時期を探っていると伝えた。
しかし6/2にタルーロFRB理事は英のEU離脱問題は米利上げ判断の要素とした見解を示した。ポイントは一点。6/23英国民投票を控え、過去、幾度となく慎重な政策運営をしてきたイエレン議長が6/15のFOMCで”今、利上げをせざるを得ない状況”、と考えるのだろうか、である。 (筆者は懐疑的だ。)
上値焦点は日足一目均衡表雲の帯(108.90-110.35)と6/1高値110.85。下値焦点は5/13-16安値圏108.47-50、5/10-11-12安値圏108.22-26-30維持。2012年11月(アベノミクス登場)の80円と高値125円台示現後に黒田日銀総裁が「実質実効為替レートが更に円安になるのはありそうにない(2015/06/10)」と発言してからの38.2%戻し(フィボナッチ)≒107.81、5/9安値107.18を留意している。
三菱東京UFJ銀行
107.25 - 110.75
FX Weekly(2016/06/03)来週は、本日の雇用統計が良好な結果となり、それを受けた来週 6 日のイエレンFRB議長講演でも、利上げへの明確なヒントが得られれば、ドルは幅広い通貨に対して、底堅く推移しよう。
但し、その雇用統計では、失業率の低下ペースが鈍化。既に、量的な労働市場の改善余地は狭まりつつあるとみられ、それだけに今後の金融政策を占う上で、賃金上昇への波及度合いが注目されよう。
その点、平均時給の伸び(前年比)をみると、4 月分は 2.5%増と上昇傾向にある一方、金融危機以前の水準に相応の距離を残している。
単月の雇用統計だけで、6 月(或いはイギリスの国民投票を考慮した 7 月)の利上げが確定的になるとは考えにくい。また、おそらくイエレンFRB議長も来週の講演では、前回の講演同様、向こう数ヶ月以内の幅を持たせた利上げシグナルを発するにとどめ、より明確なタイミングまで示すことはない(或いは、イエレンFRB議長も決め切れていない)だろう。
この為、雇用統計結果が好調な場合も、来週のドル円の上昇余地はせいぜい今週の高値までにとどまろう。
私見
6月3日に発表された雇用統計がまさかの結果となり、約一ヶ月近く続いたドルの反発局面は終了したと見てよいでしょう。少なくとも 6 月の利上げはなしですが、そもそも利上げできるのか? 米経済は大丈夫か? という疑心暗鬼で支配されたマーケットは、下値を模索する動きとなっていくと思われます。
ただし、利上げが先送りされ、ドルが下がるのは、新興国を含んだ世界的には悪いことではないため、世界的な危機はすこし遠のいたと見るべきかもしれません。
ドル円の自律的な反発としては、まずは 107.50 あたり。109 まで戻せば御の字というように見ています。ただし、この流れだと来週は荒れそうなので、静観するのも戦略です。
予想 : 105.50 - 109.00