6月20日から24日までの、ドル円相場に影響しそうな経済指標のまとめと私的な考察です。
6月20日から24日までの、ドル円相場に影響しそうな経済指標のまとめと私的な考察です。
仮に英国がEUを離脱した場合は、心理的フシ目である1ドル=100円を下回る場面も想定しておきたい。一方で、16日にはEU残留派で英労働党のジョー・コックス下院議員が殺害されたことを受け、同情票が残留派に集まるとの思惑も浮上している。
米国では21日にイエレンFRB議長の議会証言が行われる。7月利上げの可能性が再度意識されるようだと、ドル・円のサポートとして意識されそうだ。
英国のEU離脱(ブレグジット)が具現化した場合、チャート上の下値目途は2014年2月4日の安値100.76円。また、過去最安値の75.32円と昨年6月の高値125.86円の半値である100.59円が次の下値めどとなる。
ただ、複数の市場参加者は、100円に向けた円高加速時には、日銀が臨時会合を開き、追加緩和に踏み切る可能性が高いとみている。
内閣府によると輸出企業の平均採算レートは103.20円。これを下回るドル安/円高は、企業業績の悪化、株価下落を通じて景況感の悪化をもたらすほか、輸入物価の下落を通じたデフレ圧力を再燃させ、参院選の結果にも影響をもたらす可能性がある。
英国民投票の結果がEU残留となったとしても、リスクセンチメントが大幅に好転する余地は限られそうだ。
英国の国民投票については、16日に発生した英労働党下院議員の射殺事件をきっかけに「残留」支持に傾く可能性がある。
世論調査などで残留支持と離脱支持が投票直前に拮抗した場合、欧州通貨売り・円買いは弱まる可能性がある。
国民投票で「残留」支持が上回った場合、これまでの反動からドル買い・円売りが急速に拡大することが予想される。
英国の有権者が「離脱」を選択した場合、英ポンド、ユーロに対する円買いは継続し、ドル・円の取引でもリスク回避の円買いが再び強まると予想される。24日の欧米諸国の株式相場が大きく下げた場合、ドルは一時的に節目の100円を試す可能性がある。
要は、新たな関税発生など英国進出のメリットが低減すれば、進出企業の業績下方修正は勿論、英国撤退もあり得るということだ。日銀の国際収支統計では、2013年末時点で日本から英国への直接投資残高は7兆1379億円。
英国撤退による投資残縮小はポンド売り/円転圧力に繋がる。国民投票の結果は、日本時間で6/24の午前6時頃に判明予定だが、それまでは、各世論調査、思惑がポンドの動きを荒ぶらせることとなろう。
英EU離脱懸念に翻弄されるドル円見通し
警戒すべきは相関係数 (過去200日6/16終値時点)の観点から、ポンド円/ユーロ円/ドル円が同調連動を強める可能性だ。参院選前の1ドル100円割れは、2013/4の日銀異次元緩和の否定も意味するので、市場警戒度は一層高まるだろう。
セル・ザ・ルーマー/バイ・ザ・ファクト(噂で売って、事実で買う)になる可能性も留意し、ドル円上値は日足一目均衡表雲の帯(108.31-109.99)による圧迫下、6/13-14高値106.41-42ダブルトップ超が課題。越えて6/13高値106.86、6/10高値107.27意識。下値焦点は6/16安値103.60、2014/8/22-28安値圏103.485-545、下押し加速が強まると103円節目割れ2014/8/20安値102.89を想起。
最大リスクとしては同年8/8、7/14安値圏101.405-495、7/10-7/18安値圏101.05-08。そして2011年10月の戦後最安値75.55から15年6月の125.87後の下落「半値(50%)戻し」100.71も覚悟しておきたい。
仮に、離脱となった場合は、「リスク回避の円買い」に、円高を見越した「積極的な円買い」も加わり、円は全面高の様相を呈する可能性が高い。
ドルも幅広い通貨に対して底堅く推移するとみられるが、日米間の経常収支の格差(日本は黒字、米国は赤字)により、クロス円ほどではないにせよ、ドル円相場もやはり下落しよう。
下値目処と目された105 円をあっさり割り込んだ残像も色濃く残る中、ドル円の次の下値目処として、「100 円割れ」が意識されよの半値押しに相当するのが、100 円59 銭近辺だ。
もっとも、投機筋の円買いは、既に高水準にまで積みあがっていると考えられる。離脱が決定的となった場合も、特にEUとの間で、英国が今後、どのような地位を築いていくのかなど、経済的な影響の全体像が判明するまで年単位の時間を要するとみられる。
週末を控えていることもあり、結果が判明した後、意外にも短期筋などが、利益確定に動く可能性もあり、さすがに早晩100 円割れということではないだろう。
仮に、離脱が決定的ともなれば、日銀も主要な中銀と連携し、資金供給を実施するなど、市場の混乱抑制に万全を期すると見込まれる。このほか、G7(主要7 ヶ国)によるポンドを買い支える為替市場での協調介入の可能性も浮上しよう。
一方、残留が決定すると、市場の緊張感は一時的にせよ和らぐ公算が大きく、ドル円の反発が見込まれる。但し、ドル円の戻り上値は重そうだ。離脱懸念からドル円が下げ足を速める前の水準(107 円近辺)を大きく超えていくのは、容易ではないとみられる。
これは 2016 年前半最大のイベントで、ポンドがどうという話だけではなく、EU への信を問うものです。
EU は共通の経済圏をもとにアメリカに対抗しようとしましたが、経済的に強い国と弱い国が共存し、同一の通貨で統一するという矛盾があります。つまり、EU 圏内での格差問題が激しく、また、通貨が統一されているため、その格差は永遠に縮まることはないのです。
その矛盾と不満が噴出したということであり、後から振り返ると EU、ユーロへの下値圧力への起点として捉えられる重大な日になるかもしれません。
ニュースはそれしかないのですが、今週は取引しないほうが懸命です。
すでに証券会社なども注意喚起メールをだしていますが、値が飛ぶことはもちろん、スプレッドが円単位で飛ぶことも考えられます。ポジションを持たない、ことが今週の戦略になります。
ギャンブルが好きな方。退場するほどの大損失リスクを受け入れられても一発に賭けたい人は、これ以上のイベントはそうそうないです。
予想 : 100.80 - 109.00
多くの予想である下値抵抗線である 100.80 近辺は、2014 年 2月から黒田バズーカ 2 まで約半年もみ合った下値抵抗線となります。
この水準を下回るということは、決定的な「何か(経済危機)」が発生しないかぎり、この水準を抜けきることは難しいのではないかと思います。
一瞬、オーバーシュートすることはあるかもしれませんが…。
経済指標
06/20(月)
- 08:50 (日) 5 月 貿易統計(通関ベース)
- 16:50 (日) 黒田日銀総裁 発言
06/21(火)
- 22:00 (欧) ドラギ ECB 総裁 発言
- 23:00 (米) イエレン FRB 議長 発言 ★★
06/22(水)
- 20:00 (米) MBA 住宅ローン申請指数(前週比)
- 23:00 (米) 5 月 中古住宅販売件数
- 23:00 (米) イエレン FRB 議長 発言 ★★
06/23(木)
- 15:00(英) 投票開始:EU 離脱是非の国民投票)
- 23:00(米) 5 月 新築住宅販売件数
- 23:00(米) 5 月 景気先行指標総合指数
06/24(金)
- 06:00(英) 投票終了・開票開始:EU 離脱是非の国民投票
- (予定)07:30-12:00(英) 大半の選挙区が開票結果発表:EU 離脱是非の国民投票
- (予定)15:00(英) 開票作業終了:EU 離脱是非の国民投票
- 21:30 (米) 5 月 耐久財受注
- 23:00 (米) 6 月 ミシガン大学消費者態度指数
予想レンジ
モーニングスター
100.00 - 105.90
来週の東京外国為替市場見通し (2016/06/17 18:18)最大の焦点は、23日に実施される英国のEU(欧州連合)残留の是非を問う国民投票の結果。直近の世論調査では、英国のEU離脱派が、残留支持派を上回っている状況。
仮に英国がEUを離脱した場合は、心理的フシ目である1ドル=100円を下回る場面も想定しておきたい。一方で、16日にはEU残留派で英労働党のジョー・コックス下院議員が殺害されたことを受け、同情票が残留派に集まるとの思惑も浮上している。
米国では21日にイエレンFRB議長の議会証言が行われる。7月利上げの可能性が再度意識されるようだと、ドル・円のサポートとして意識されそうだ。
ロイター
101.00 - 106.00
来週の外為市場 (2016/06/10 15:47)来週の外為市場では、23日の英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票に向かって、ドル/円の下値リスクが意識されやすい展開となりそうだ。
英国のEU離脱(ブレグジット)が具現化した場合、チャート上の下値目途は2014年2月4日の安値100.76円。また、過去最安値の75.32円と昨年6月の高値125.86円の半値である100.59円が次の下値めどとなる。
ただ、複数の市場参加者は、100円に向けた円高加速時には、日銀が臨時会合を開き、追加緩和に踏み切る可能性が高いとみている。
内閣府によると輸出企業の平均採算レートは103.20円。これを下回るドル安/円高は、企業業績の悪化、株価下落を通じて景況感の悪化をもたらすほか、輸入物価の下落を通じたデフレ圧力を再燃させ、参院選の結果にも影響をもたらす可能性がある。
英国民投票の結果がEU残留となったとしても、リスクセンチメントが大幅に好転する余地は限られそうだ。
フィスコ
100.00 - 107.00
為替週間見通し(2016/06/18 15:13)今週のドル・円はもみあい後に急反発する可能性がある。最大の焦点である英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票(23日投票)で離脱支持が過半数を占めるとの思惑で、国民投票の大勢が判明するまで(日本時間24日午後との見方)はリスク回避的な欧州通貨売り・円買いがやや優勢となる可能性がある。この影響でドルは対円で伸び悩むとみられる。
英国の国民投票については、16日に発生した英労働党下院議員の射殺事件をきっかけに「残留」支持に傾く可能性がある。
世論調査などで残留支持と離脱支持が投票直前に拮抗した場合、欧州通貨売り・円買いは弱まる可能性がある。
国民投票で「残留」支持が上回った場合、これまでの反動からドル買い・円売りが急速に拡大することが予想される。
英国の有権者が「離脱」を選択した場合、英ポンド、ユーロに対する円買いは継続し、ドル・円の取引でもリスク回避の円買いが再び強まると予想される。24日の欧米諸国の株式相場が大きく下げた場合、ドルは一時的に節目の100円を試す可能性がある。
岡三オンライン証券
100.70 - 106.40
武部力也の週間為替相場見通し(2016/06/17)英EU離脱が円に与える影響
要は、新たな関税発生など英国進出のメリットが低減すれば、進出企業の業績下方修正は勿論、英国撤退もあり得るということだ。日銀の国際収支統計では、2013年末時点で日本から英国への直接投資残高は7兆1379億円。
英国撤退による投資残縮小はポンド売り/円転圧力に繋がる。国民投票の結果は、日本時間で6/24の午前6時頃に判明予定だが、それまでは、各世論調査、思惑がポンドの動きを荒ぶらせることとなろう。
英EU離脱懸念に翻弄されるドル円見通し
警戒すべきは相関係数 (過去200日6/16終値時点)の観点から、ポンド円/ユーロ円/ドル円が同調連動を強める可能性だ。参院選前の1ドル100円割れは、2013/4の日銀異次元緩和の否定も意味するので、市場警戒度は一層高まるだろう。
セル・ザ・ルーマー/バイ・ザ・ファクト(噂で売って、事実で買う)になる可能性も留意し、ドル円上値は日足一目均衡表雲の帯(108.31-109.99)による圧迫下、6/13-14高値106.41-42ダブルトップ超が課題。越えて6/13高値106.86、6/10高値107.27意識。下値焦点は6/16安値103.60、2014/8/22-28安値圏103.485-545、下押し加速が強まると103円節目割れ2014/8/20安値102.89を想起。
最大リスクとしては同年8/8、7/14安値圏101.405-495、7/10-7/18安値圏101.05-08。そして2011年10月の戦後最安値75.55から15年6月の125.87後の下落「半値(50%)戻し」100.71も覚悟しておきたい。
三菱東京UFJ銀行
101.00 - 107.00
FX Weekly(2016/06/17)来週は、英国の国民投票を迎える。
仮に、離脱となった場合は、「リスク回避の円買い」に、円高を見越した「積極的な円買い」も加わり、円は全面高の様相を呈する可能性が高い。
ドルも幅広い通貨に対して底堅く推移するとみられるが、日米間の経常収支の格差(日本は黒字、米国は赤字)により、クロス円ほどではないにせよ、ドル円相場もやはり下落しよう。
下値目処と目された105 円をあっさり割り込んだ残像も色濃く残る中、ドル円の次の下値目処として、「100 円割れ」が意識されよの半値押しに相当するのが、100 円59 銭近辺だ。
もっとも、投機筋の円買いは、既に高水準にまで積みあがっていると考えられる。離脱が決定的となった場合も、特にEUとの間で、英国が今後、どのような地位を築いていくのかなど、経済的な影響の全体像が判明するまで年単位の時間を要するとみられる。
週末を控えていることもあり、結果が判明した後、意外にも短期筋などが、利益確定に動く可能性もあり、さすがに早晩100 円割れということではないだろう。
仮に、離脱が決定的ともなれば、日銀も主要な中銀と連携し、資金供給を実施するなど、市場の混乱抑制に万全を期すると見込まれる。このほか、G7(主要7 ヶ国)によるポンドを買い支える為替市場での協調介入の可能性も浮上しよう。
一方、残留が決定すると、市場の緊張感は一時的にせよ和らぐ公算が大きく、ドル円の反発が見込まれる。但し、ドル円の戻り上値は重そうだ。離脱懸念からドル円が下げ足を速める前の水準(107 円近辺)を大きく超えていくのは、容易ではないとみられる。
私見
今週の焦点は言うまでもなく、イギリスの EU 離脱是非を問う国民投票です。これは 2016 年前半最大のイベントで、ポンドがどうという話だけではなく、EU への信を問うものです。
EU は共通の経済圏をもとにアメリカに対抗しようとしましたが、経済的に強い国と弱い国が共存し、同一の通貨で統一するという矛盾があります。つまり、EU 圏内での格差問題が激しく、また、通貨が統一されているため、その格差は永遠に縮まることはないのです。
その矛盾と不満が噴出したということであり、後から振り返ると EU、ユーロへの下値圧力への起点として捉えられる重大な日になるかもしれません。
ニュースはそれしかないのですが、今週は取引しないほうが懸命です。
すでに証券会社なども注意喚起メールをだしていますが、値が飛ぶことはもちろん、スプレッドが円単位で飛ぶことも考えられます。ポジションを持たない、ことが今週の戦略になります。
ギャンブルが好きな方。退場するほどの大損失リスクを受け入れられても一発に賭けたい人は、これ以上のイベントはそうそうないです。
予想 : 100.80 - 109.00
多くの予想である下値抵抗線である 100.80 近辺は、2014 年 2月から黒田バズーカ 2 まで約半年もみ合った下値抵抗線となります。
この水準を下回るということは、決定的な「何か(経済危機)」が発生しないかぎり、この水準を抜けきることは難しいのではないかと思います。
一瞬、オーバーシュートすることはあるかもしれませんが…。